困ったことに、レイムダック議会の実働期間はそれほど長くない。11月末には感謝祭休暇が入るし、12月下旬にはクリスマス休暇がある。上下院ともに11月9日の週に開催されるとして、実質的な審議期間は極めて短い。加えて選挙を終えたばかりの議員たちは、開放感があったり、落選の恨みを抱えていたりの人生模様がある。意外な妥協が成立することもあれば、駆け込みやら先送りやらで、審議が大もめにもめることもある。
次なる注目点は、毎年、年末に成立する国防権限法(NDAA=National Defense Authorization Act)である。この法案には防衛予算のみならず、国防に関するさまざまな政策課題が盛り込まれる。ときには、「防犯カメラに中国製品を使ってはいけません」みたいな規制が入ったりするので、日本企業としても無関心ではいられないところである。
報告書で米軍の武器・弾薬不足は明らか、予算不成立なら日本の安全保障にも
今年はイラン戦争を抱えているので、国防権限法の成立は微妙なものになるだろう。トランプ大統領はイランへ3隻目の空母を派遣するなど、米中央軍に対して大規模作戦の準備をさせている。それでは中間選挙後にイラン再攻撃が始まるのか、と言えばそこは「ディール」を目指すための脅しかもしれない。他方、中間選挙があまりの大敗ということになれば、民主党は攻勢に出るだろうし、議会は当然、戦争を止めようとする。この場合、身内の共和党議員からどの程度の造反が出るかが見ものである。
議会側には大統領に対し、「イラン戦費の補正予算を認めない」という対抗手段がある。「予算を認める代わりに、戦争権限について大統領に説明責任を求める」「大統領の戦争遂行を議会が監督する」などと条件をつけることも考えられよう。
特に悩ましいのは、米軍の武器・弾薬が不足していることだ。9月14日、米国防総省(ペンタゴン)が対イラン作戦に関する初の包括報告書を公表している。ペンタゴンの「監察総監」(Office of Inspector General)という独立監査部門が、米軍の人的損害や装備の被害、米軍基地の損傷や全体のコストなどを詳しく伝えているのだ。
同報告書は、「米軍は、『戦略的在庫』の不足を招き、弾薬の再補給を担う『産業基盤のボトルネック』を露呈した」と指摘している。まことに由々しきことながら、米軍はパトリオットやトマホークなどの在庫が乏しくなっている。防衛産業に急いで増産を求めなければならないのだが、そこには「ボトルネック」があるというし、何より急いで予算を通さなければならないのだ。
これらの兵器はウクライナでも使われる。インド太平洋地域も以下同文だ。日本としても他人事ではない。イランとの衝突が長期化すればするほど、米軍の中国に対する抑止力が弱まることになる。ペンタゴンが要求する武器・弾薬予算の成否は、文字どおり日本の安全保障にも関わることであり、中間選挙後の内政からは目が離せない。


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