まずユニーク(unique)から見ていきましょう。
この言葉の中には「ユニ(uni)」が入っています。これは「1つ」という意味です。ユニフォームは「みんなが着る1つの同じ服」、ユニットは「複数が集まった1つのまとまり」、ユニバーサルは「1つにまとまった普遍的なもの」。
どれも「1」のニュアンスを持っています。
ですからuniqueの本来の意味は「1つしかない」、つまり「唯一の」「他に代わりがない」ということになります。
英語でYou are uniqueと言えば、「あなたは他の誰とも違う、かけがえのない存在だ」という意味になるわけです。
そこに「ちょっと変だね」というからかいのニュアンスはほとんどありません。
ところが日本語のユニークになると、「変わっている」「風変わりな」という意味合いが強くなります。
目を逸らしながら「ユ、ユニークだね……」と言われたら、多くの人は「あ、微妙だったんだな」と察しますよね。
同じ言葉なのに、英語では「唯一無二」というポジティブな意味、日本語では「ちょっと変」という少し皮肉な意味になる。ここが面白いところです。
ナイーブは「世間知らず」という悪口?
次はナイーブ(naive)です。
日本語のナイーブは、「繊細な」「感受性が豊かな」「純粋な」といった意味で使われることが多いと思います。「彼はナイーブだから、あまり強く言わないであげて」と言えば、相手を気づかう優しい表現にもなります。
しかし英語のnaiveは、かなり厳しい言葉です。
意味としては「世間知らずな」「考えが甘い」「だまされやすい」に近くなります。
That's a naive ideaと言われたら、「それは甘っちょろい考えだね」と、はっきりダメ出しをされていることになります。
ビジネスの場で相手の提案に「ナイーブですね」なんて言ったら、褒めたつもりでもかなり失礼に聞こえてしまうでしょう。
もともとnaiveは、フランス語のnaïf(ナイーフ)から来た言葉で、さらにさかのぼると、ラテン語の「生まれたままの、自然な」という意味の言葉にたどり着きます。
「生まれたままの状態」ですから、「純粋で飾り気がない」とも言えますし、「経験がなく未熟だ」とも言えます。
つまり、同じ「生まれたまま」という性質を、日本語は「純粋さ」として受け取り、英語は「未熟さ」として受け取った、ということなんですね。
同じものを見ていても、どちら側から光を当てるかで、褒め言葉にも悪口にもなるわけです。


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