「おいおい、お人よしもいい加減にしてくれよ。そんなヤツがどこにいる! お前にもこれから長い老後があるんだぞ。血のつながりもない子どもたちになんで、そんな。なあ、青山に相談した方がいいんじゃないか」
青山というのは、部活仲間の弁護士のことです。加藤はため息をつきながら、首を横に振りました。
「俺がいいと言ったら、いいんだよ。これ以上俺を貶めないでくれ。頼むよ」
「まあ、お前がそれでいいって言うなら……。だけど俺は友達として納得いかないな。くそ、何がソウルメイトだよ。詐欺じゃないか。だいたいな、お前もお前だよ。いつまでも過去に支配されてんじゃないよ。お前もそのサークル、抜けたらどうだ。仁美さんのことも、ソウルメイトとやらのことも、時間が経てば解決するよ。きっといいことがあるさ。人生100年時代だぞ。前向いて行けよ!」
私は自分の言葉に酔っていたかもしれません。加藤は力なく微笑んで、頷きながら焼酎のロックをすすっていました。
メールで届いた三度目の絶交宣言
翌朝、二日酔いで目を覚まし、スマホを見ると、加藤からメールが届いていました。
「痛飲。ご馳走に感謝。だがもうお前とは付き合う意味がないと考え、絶交を伝える。理由を説明する必要はないだろう。ただ一つ、時間が経てば解決する、そんな無責任な言葉を、今後、死別した人間にかけないこと、それだけはアドバイスとしたい。以上」
さすがに文字面で見る「絶交」には焦りました。「時間が経てば解決する」という言葉が、そんなに加藤を傷つけたとは。
届いた時間を確認すると、深夜1時。帰宅してそのまま、酔った勢いで送ってきたのでしょう。私もずいぶんズバズバ言ったと思います。会計を私が引き受けたことも忘れていましたから、ひょっとしたらもっともっと加藤を傷つけることを言ったのかもしれません。しかし、すべて私の本音ではあるので、後悔はありません。
いろいろと考えた挙句、こう返事を送りました。
「こちら二日酔い。また飲もう。本当のソウルメイトより」
あれから1年以上が経ち、私と加藤はまだ会っていません。それでも今回、このようなインタビューで我々の話をすることについて、一応了承を得るべきかと思い、私からメールをしました。加藤からは、一言だけ返事がありました。
「Got it. Up to you.」(了解。お前に任せる。)



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