一方で、地方特有の家父長制などの古い風習や考え方も自然と残っています。そういった環境を受けて、同作では「好浩」など町ならではのキャラクターが生み出され、地元出身の女性に聞いた話が「寄子」のセリフに反映されています。
このように奈義町の持つ多層的で不思議な魅力に魅せられ、深田監督自身が19年から3年にわたり合計10カ月ほど滞在して取材を重ね、『ナギダイアリー』は完成しました。
圧倒的な存在感を誇る「奈義町現代美術館」
深田監督がもっとも感銘を受けた場所が、劇中でも欠かせない舞台として登場する奈義町現代美術館です。そこに行かないと見られない、作品と建物とが半永久的に一体化した展示の数々。磯崎新氏のプロデュース・設計による"窓から那岐山が見える"設計と個性的な建築が目を引きます。
「そういった美術館が1990年代から町にあって、地域の図書館としても使われており、自衛隊とともに既に町に馴染んでいるというところに面白さを感じました」(深田監督)
作中に登場した「寄子」の作品は、現在、館内に特別に設置されています。「寄子」が農業の傍らで営んでいる「彫刻」は木彫ですが、元々は画家という設定だったとのこと。
地域にはいくらでも材料となる木材があり、アトリエを作る土地もたくさんある環境で、実際に彫刻をやっている人も多いことから、画家から彫刻家という設定に変更となりました。地方で1人暮らしをしながら、彫刻や絵画教室を通じて地域とつながる生活がリアルに描かれています。
「ナギ」の特徴を描くのに、当初は冬の雪のシーンも構想されていました。しかし、取材を進めるうちに3月の「土手焼き」を描くことにしたとのことです。その結果、ストーリーの設定は3月となりました。


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