つまり、キックスを購入した人々は、ディーラーに足を運ぶ前の段階で「日産のe-POWERを搭載したクルマを買う」という意思を固めている人が多いことが読み取れる(5位にはエクストレイルe-POWER、7位にはセレナe-POWERがランクインしている)。そこに、「e-POWERという技術」への興味・期待と信頼が見えてくる。
そういった考えを抱いたうえで、日産ディーラーに行ってから、実用コンパクトハッチバックの「ノート」、高級感を高めたプレミアムハッチの「オーラ」、そしてSUVの「キックス」という三者の間で、日産内での競合関係が発生している。
特に、オーラとキックスは、実質支払額平均で約300万円のレンジにともに位置し、価格の面でも競合している。
エクストレイル、セレナからのダウンサイジング
キックスの買われ方を別の観点からも確認してみよう。キックス購入者はどのモデルから乗り換えているのか。「手放したクルマ(前有車)」のデータを紹介する。
キックスを購入する前にユーザーが手放したクルマのトップ5は以下であった。
1位:エクストレイル(15%)
2位:ノート(14%)
3位:セレナ(11%)
4位:ジューク(8%)
5位:キューブ(5%)
ここから、エクストレイル、セレナといったキックスより大きいモデルからの、ライフステージの変化に伴うダウンサイジングの構図が浮かび上がった。以上より、次のような購入者像を描くことができる。
・かつて子育て期やレジャーシーンで、家族のために大きいミドルサイズSUVのエクストレイルや、ミニバンのセレナを所有していた当時のミドル世代
・その後、子どもが自立し、年齢を重ねるにつれて、「大きな車を維持する必要がなくなった」「運転が楽な、取り回しやすいサイズの車に買い替えたい」というダウンサイジングの欲求が強まる
・長年SUVやミニバンの「高いアイポイント(運転視界の良さ)」に慣れ親しんだドライバーは、一般的なハッチバックに乗り換えると視点が低くなり、運転に不安や違和感を覚えやすい
・一方で、これまで乗ってきた車種のクラス感を考えると、軽自動車やスタンダードなコンパクトカーへ下げることには少し抵抗がある
そこで、キックスがちょうど良い選択肢となるわけだ。
コンパクトなボディサイズでありながら、SUVとしての見晴らしの良い、運転しやすいアイポイントの高さ、そしてe-POWERの力強く滑らかな走り。これらのパッケージが、競合より高い300万円を支払う理由かもしれない。


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