そして、もう一つ。有楽製菓にはなんとも皮肉な問題が立ちはだかっていた。
「実は『ブラックサンダー』で生産ラインをかなりフルに使っていて、新しいチャレンジをしたくても、なかなか作るキャパ(生産能力)がないという状態が続いていたんです」(杉田氏)
"第2の柱"を作りたいのに、作る余裕がない……。その理由もまた、「ブラックサンダーが強すぎる」ことにあった。
売れる。だから工場は「ブラックサンダー」を作り続ける。だが、作り続ければ続けるほど、新しい商品を試すための生産余力がなくなる。
「ブラックサンダー」一本柱から脱却するためには新たなブランドが必要なのに、その「ブラックサンダー」が売れすぎているため、新たなブランドに挑戦する余裕がない──。なんとも贅沢で、なんとも難しいジレンマである。
待ちに待った新工場が稼働
そんな状況に転機が訪れた。24年、新工場の稼働がスタートしたのだ。
こうしてようやく、“第2の柱"を本格的に生み出せる環境が整った。
新しい生産ラインで、新しいブランドを作る──。その号令のもと、開発陣がまず考えた商品コンセプトは、実に約50案に及んだ。
その50案の中から生き残った一つが、「ミルクにとことんこだわったチョコレートバー」だった。開発を担当したマーケティング部の北島あや氏は、その着想についてこう話す。
「チョコレート市場を見ると、ミルクチョコレートの割合が非常に多い。みんなミルクチョコレートが好きなんだよね、という気づきがありました。また当時、専門店やお土産商品では、ピスタチオやイチゴなど、一つの原料に特化した商品も増えていました。それならチョコレートバーでも、ミルクにこだわったものがあったら、おいしく召し上がっていただけるんじゃないか、と」


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