松山氏は地元紙のインタビューで「首相とは電話やメールで話をし、意思疎通はできている」と答えるなど、高市首相の意向を尊重する姿勢を見せている。だが、高市首相が迫った石井氏の更迭に「頭が痛い」と周囲に漏らしたこともあった。
はたして、参院自民党の隅々に高市首相の力が及ぶのか。それは小泉純一郎元首相も安倍晋三元首相も果たせなかった夢でもある。
勢いを増す「高市一強」体制
ただ、高市首相の勢いは止まらない。
9月13日に投開票された沖縄県知事選では、自民党などが推薦した古謝玄太氏が史上最多の42万3124票を獲得し、現職の玉城デニー氏に14万票以上の差を付けて勝利した。27年度予算の概算要求として、内閣府は8月31日に2897億円の沖縄振興予算を求めたと発表していたが、古謝氏の当選を受けて3000億円超に増額する方向で調整に入っている。
同予算については、22年度から3000億円を割り込んでいた。さらに、沖縄振興一括交付金に至っては、18年度には1188億円だったが、26年度は736億円と大きく減少していた。
それが県知事選における自民党系候補の勝利を受けて「お手盛り予算」になった。共産党の田村智子委員長は14日の会見で、「なんと情けない政権なのか」「改めて怒りが湧き起こる」と涙を流した。
だが、そうした声など、高市首相がこもる首相官邸に届くはずがない。16日の党人事と17日の内閣改造を無事に終えることができたなら、来年の総裁選に向けた有利な布陣になるだろう。
目下の焦点は、22日から始まる国連総会。高市首相がぜひとも実現させたいのは、アメリカのドナルド・トランプ大統領との会談だ。しかし、トランプ大統領は自国の中間選挙で頭がいっぱいで、日本に思いを寄せる余裕はない。
むしろベッセント財務長官が「代わり」を果たしており、7月末には円安に動く為替市場に協調介入した。「トランプ大統領に会うには、まずベッセント長官の“宿題”をやり遂げなければならないだろう」と、関係者は語る。
「ベッセントの宿題」とは、リフレ政策を放棄し、インフレ抑制の経済政策に転換すること。要するに、円安とゼロ金利政策を軸としたアベノミクスの否定にほかならない。これを受けて日本銀行は政策金利を1.25%に上昇させる方向だが、これは変動型住宅ローンの金利を上昇させることにつながり、国民生活に大きく影響しかねない。
誰もが豊かさを求めることができた時代から、不確実な時代へ。そして格差社会へ――。その行き着く先を、はたして高市首相はどう見据えているのか。


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