もうひとつ、岩田さんに渡したのは「脱フュージョン」という技法です。
ネガティブな思いが頭を占領したときに、その思いから自分を引き剥がすテクニックです。
やり方は、拍子抜けするほど簡単です。
「もう、やーめた!」と、声に出して言う。
あるいは、「自分はダメだ」というフレーズを、小さな声でメロディに乗せて歌ってみる。ハッピーバースデーの節でも、好きな曲でも構いません。
ばかばかしく感じるかもしれません。でも、そのばかばかしさこそが効きます。深刻な思考を、深刻なまま扱わない。どんなネガティブな考えも、しょせんは「言葉」にすぎないと実感できると、こころは驚くほど軽くなります。
「大丈夫」を、こころの免疫力に
私は自己肯定感を、「こころの免疫力」だと考えています。
最強の鎧を探し求めるよりも、自分自身の回復力を上げるほうが、ずっと強くなれる。からだに自然治癒の仕組みがあるように、こころにも同じ仕組みがあります。
そして、こころは「言葉」を食べて生きています。
岩田さんの口ぐせは、半年かけて変わっていきました。「でも」が減り、「まあ、なんとかなるか」が増えました。仕事量は劇的には変わっていません。それでも、朝、足は動くようになりました。
「何があっても大丈夫」
私がもっとも大切にしている言葉です。根拠はいりません。根拠のない「大丈夫」こそが、こころの免疫力を育てます。
もし今、会社の前で足が止まりそうな人がいたら、まず一度、声に出してみてください。
安心、安心。楽しい、楽しい。大丈夫、大丈夫。
(事例は複数のカウンセリング事例をもとに再構成したものです。個人が特定されないよう、年齢・性別・状況等を変更しています)



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