サステナビリティ担当者こそAIを使いこなそう。約20年間にわたり企業のサステナビリティレポート制作や外部評価への対応に携わった加美山秀彦氏がサステナ関連業務でのAI活用テクニックをご紹介する。初めてサステナビリティ部署に配属になったり、これからサステナビリティ部署を作ろうという企業の方にぜひお読みいただきたい。
1回目は、調べる時間を考える時間に変える社会動向の集め方について解説する。
【配信予定】
②数日かかる他社調査を無料AIで30分に短縮し有報を読み比べ会議資料まで作成(10月13日)
③社内に埋もれた自社の受賞実績をDeep Researchで社外から拾い出す(10月14日)
業務歴の浅いサステナビリティ担当者へのAI活用法
サステナビリティのコンサルタントとの打ち合わせで、こんな時間を過ごしたことはないだろうか。
説明されたことをメモに取る。ときおり知らない用語も出てくるが、いちいち止めるのは気が引ける。そもそも、具体的に何を質問すればいいのか自分でもよくわからない。最後に「では、その方向でお願いします」と言って会議が終わる。
席に戻ると、IRなど複数の公開情報用の原稿の確認依頼、各部門へのデータ収集の督促、外部からの開示要求への回答期限も近づいていることが気になる。最近変更になった制度について勉強しなければ、とも思っている。ただ、その時間はなかなか取れない。
こうした状態を抜け出すのに、新たな制度を隅々まで理解する必要はない。AIを活用し、全体像を1時間ほどで押さえ、打ち合わせでコンサルタントに自分の言葉で簡単に質問できればいい。生成AIは、そこにドンピシャで効く。
筆者は、企業のサステナビリティレポート制作や外部評価への対応を、約20年にわたり支援してきた。現在も複数の企業でアドバイザーを務めている。
こうした業務の中で、最近1年ほど生成AIを使い続けてきた。もともとAIの専門家というわけではない。まだ使っていない人より、少し早く試し始めただけだ。それでも、実際に手を動かして「これは助かる」と感じた使い方がいくつもたまってきた。
この連載では、こうした使い方の経験を業務歴が浅いサステナビリティ担当者に向けて共有していきたい。誤解がないよう先に書いておくが「AIがあればコンサルタントは要らなくなる」という話ではない。むしろ逆だ。
これまでコンサルタントなど外部に依頼していた作業の中で、ある程度の割合を占めていた社会動向や他社事例の収集は、正直なところ誰がやっても同じ結果になる部分だ。そこをAIを活用しながら自分で行えば、コンサルタントに依頼する時間を「当社の業種業態でこの優先順位は妥当か」「経営会議でどう説明すべきか」といった本質的な内容に振り替えられる。そこにこそコンサルタントが本領を発揮できる部分がある。
こうなると依頼内容も変わる。これまでは、
②サステナビリティについて他社の事例を並べてください
と漠然と頼んでいた。
それが、
に変わる。
支払う金額は同じでも、回答として得られるレベルがまるで違う。発注側の担当者が育てば、よいコンサルタントは本領を発揮しやすくなる。
今回からの3回は導入編で、これまで多くの人が手作業で時間をかけていた作業にスポットを当てる。まず手順は3つだ。
②答えのどこを見るかを押さえる⇒「疑う」
③1次情報に当たる⇒「確かめる」
これを社会動向(第1回)、他社動向(第2回)、自社動向(第3回)に当てはめていく。どれも特別な道具は不要だ。あなたでもすぐにできる。では、始めていこう。
①調べる
使うAIツールは、ウェブ検索と連携する生成AIだ。学習済みの知識だけで答えるタイプは、古い情報が最新情報として返ってくる。筆者は普段Claudeを使っているが、今回は、社内での使用が許可されていることも多い無料のGeminiでも試し、同じ手順で成立することを確かめた。本稿は無料版Geminiの出力結果で構成していく。
実際に作業を進める際、プロンプト作成に身構える必要はない。聞きたいことをそのまま書けばいい。慣れないうちは、プロンプト自体をAIに考えさせるのも有効だ。「サステナビリティ担当者が制度動向を調べるための質問文を作ってほしい」と頼み、出てきた文章に対象分野の絞り込みや自社の事情を足して使う。「もっと精度が上がるように直してほしい」と頼めば、AIが自分の質問を磨いてくれる。
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