大変失礼ながら、試乗前は一般的なエンタメでデジタライゼーションの一環であり、多角的なUXを狙った「よくあるもののひとつ」と捉えていた。しかし、実際はそう単純ではなかった。3つの世界観には個別の意味があり、A6の表現力を大いに高めてくれるじつに効果的な機能だったからだ。
高く評価した理由はネーミングどおり、「体感」にハッキリとした違いがあることだ。エアコン温度は0.5度刻みで変更され、風量は通常は選択できない連続可変式になるなどきめ細かい制御が入る。さらにMMI experience proパッケージに含まれる「Bang & Olufsen 3Dプレミアムサウンドシステム(16スピーカー)/フロントヘッドレストスピーカー」からのオリジナルサウンドは、ドライバーの運転感覚を研ぎ澄ませる(≑集中力を高める)ことにも役立つ。人間工学上からも合理的。筆者のお気に入りは「安定した世界」だ。
こうした高い遮音性や伸びやかな加速フィール、さらにはアウディが大切にした運転支援技術、3つの世界観で表現する体感の世界の詳細は筆者の動画チャンネルにてご確認いただきたい。
A5と似て非なる存在、A6の存在価値
最後に燃費数値。今回は63.2km走行して17.0km/Lを記録した。WLTCの総合値は17.6km/Lだが、試乗車は燃費数値が悪化傾向となるエアサスペションを装着していたことから、ほぼカタログ値といえる。
A5とは単なるサイズ違いではないこと、A6は重厚さと相克する遅れのない走行性能を身につけていること、アウディらしいデジタライゼーションで新しい運転感覚を表現していること。これらすべてに共感できる部分があった。もっとも紹介した機能を堪能するとなると支払い額はほぼ1200万円。なかなか手を伸ばしにくい価格帯だが、見合う性能は確かなものだった。


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