世耕氏の復党に対しては、自民党内に根強いアレルギーが存在する。和歌山県連にはいまだ二階氏の影が残り、党紀委員会に提出された書面からもそれが読み取れる。
その急先鋒といえるのが、世耕氏と参院和歌山選挙区で表と裏を分け合っていた鶴保庸介氏だ。鶴保氏は二階氏の側近で、世耕氏と二階氏の「紀州戦争」の後、世耕氏と鶴保氏の「和歌山戦争」がすでに始まっている。
鶴保氏は25年7月の参院選の選挙活動で「運のいいことに能登で地震が発生した」と発言して大炎上を招いたが、世耕氏はフェイスブックで「これはあまりにもひどい発言」と厳しく批判。そして、参院和歌山選挙区では世耕氏が推す望月良男前有田市長が当選し、鶴保氏が応援した二階氏の三男・伸康氏は落選した。
このように地元では世耕氏が優勢と見えるが、国政ではそうはいかない。参院自民党の石井準一幹事長は、世耕氏の復党を「時期尚早」と反対している。党紀委員会のメンバーである石井浩郎参院議員も、同じく世耕氏の復党に慎重な態度を示した。
参院秋田選挙区選出の石井氏は、秋田出身の菅義偉元首相と近い。また、党紀委員長の浅尾氏は麻生派所属とはいえ自民党神奈川県連の所属で、菅元首相や河野太郎元外相に近い。菅氏も河野氏も高市首相には批判的で、とりわけ河野氏は財政再建派として2年間の消費税減税に真っ向から反対を唱えている。
右傾化からの揺り戻しが進む自民党
ここに来て、高市首相への逆風が見て取れる。反対派を抑えて「悲願」の消費税減税を自民党に了承させたものの、8月1〜2日に行われたJNN(ジャパン・ニュース・ネットワーク)の世論調査では、内閣支持率は前月から6.7ポイント減の59.2%と、高市政権発足後初めて6割を割り込んだ。
7月28日に発生した熊本地震の被災地を視察するため、高市首相は8月3日に現地入りしたが、公開された動画がまるでプロモーションビデオだと批判された。
森山裕前幹事長も沈黙を破り、高市政権が推し進めた皇室典範改正や消費税減税に週刊誌で苦言を述べたほか、台湾問題をめぐるプロトコル違反により中国の習近平主席を激怒させた高市首相の失態も激白した。
今年2月に投開票された衆院選は自民党に316議席をもたらし、政治を大きく右傾化させた。だが自民党は時折、“自浄作用”を働かせる。今回の世耕氏の復党見送りもその一面なのか。これは「秋の政局」の序章なのかもしれない。


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