フジが的外れな情報管理を行った結果、「身内」から情報が漏れ、佐藤の事務所が長文の声明を出す大義名分を与えてしまった。佐藤側は飛んできた火の粉を振り払うためにそうせざるを得なかったのだろうが、これが橋本への激しい誹謗中傷につながった面は否めない。
さらに文春の続報には、佐藤が俳優仲間3人に橋本の事情を相談していたとの記載がある。これはフジの2回目の声明文にあった、佐藤が橋本に「男性俳優の友人にも相談したところ友人も女性俳優の方がおかしいという意見であった」と告げた件を指していると思われる。
佐藤が橋本のプライバシーに関わる内容を相談したこと自体は適切とは言えない。ただ、第2弾記事でそれを暴露した文春の狙いは、世間の注目を集め「どちらが悪いか」論争を長引かせることにあり、公共性は乏しい。
佐藤が仲間に橋本の事情を伝えたことを糾弾する文春が、一方で「世間」に対してそれを広く知らせているのは、明らかなダブルスタンダードだ。橋本側が積極的にリークしたわけではないにしても、報道への同意があったのではないかと、世間に疑念を抱かせる結果にもなっている。
「深刻なハラスメント」なのに撮影続行
佐藤の行為が弁護士によって「ハラスメント」と評価された後のフジの対応も矛盾だらけだ。
文春の報道によると、フジテレビは佐藤の楽屋での言動について、佐藤の事務所に「深刻なハラスメントに該当すると認識しております。また、このことについては、橋本様に過失はないと認識しております」と通達している。
フジは2回目の声明で、弁護士の見解を受けて撮影中止も検討したが、橋本の強い責任感からの希望で撮影を続行したと説明した。
ハラスメントはそれ自体深刻である上に、さらに「深刻な」とかぶせて強調するほどであれば、夫婦役として近い距離で接する状況は、相当な負担になっている可能性がある。本人が「責任感から」続行を希望しているとしても、責任感で仕事を全うしようとすること自体がリスクだと考えなかったのだろうか。
橋本の事情を考えれば、撮影続行の可否については医療の専門家の判断も仰ぐべきだったと思うが、フジの声明にはそのような記載はない。
佐藤にとっても、ハラスメントの加害者として扱われ、相手との直接のやり取りを制限されながら、夫婦役として演技を続行するというのは耐え難い状況で、「罰ゲーム」とも言える。

