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個人の能力には限界がある 大きな仕事をするための心得 『アカデミアの泳ぎ方』谷内江望氏に聞く

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『アカデミアの泳ぎ方 研究の世界に生きるための哲学と実践』の著者、加ブリティッシュコロンビア大学教授の谷内江 望氏(写真:谷内江氏提供)

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競争的資金の申請書や論文の書き方から、ジョブハンティングや人材獲得の方法に至るまで、研究者としてキャリアを築くためのスキルを懇切丁寧に解説。一見ノウハウ本のようでありながら、研究哲学や、組織の中で自己実現するためのアイデアもふんだんに盛り込まれている。合成生物学の最前線を走り、気鋭の研究者として注目される著者に話を聞いた。

──執筆のきっかけは。

『アカデミアの泳ぎ方 研究の世界に生きるための哲学と実践』(谷内江 望 著/羊土社/3630円/264ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

最初は自分の研究室のメンバーや距離の近い研究者仲間に向けて書こうと思った。忙しい中で断片的なアドバイスを伝えても素直に受け止めてもらえないことがあるので、一度まとまった形で書きたいと。それに本なら、知りたい人だけが手に取ってくれる。

僕自身がサイエンスの世界に少しいら立ちを感じていたのも理由の1つだ。自然の絶対的な真理に迫ろうと人間がもがくのが科学の営みのはずだが、科学者の中には、成功したい、注目される論文を出したい、偉くなりたい──といった欲の強い人たちが多い。

自然がつくったすごいものの前で科学者はもっと謙虚であるべきだし、みんなで協力して誠実に前に進めていかなければいけないのに、それとはほど遠い現状だ。

──本来手段であるべきものが目的になっていると?

そうだ。少し変な方向に向かっている。人より偉くならなくてもいいから、自分の足で立って、協力して科学を進めていく。そういう風潮が薄まってきている。

でも、僕が尊敬している科学者たちをみると、みんな謙虚に、穏やかに笑っている人ばかりだ。そういうことも若者に伝えたいと思った。

うまくいっている人たちを観察して学んだ

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