──執筆のきっかけは。
最初は自分の研究室のメンバーや距離の近い研究者仲間に向けて書こうと思った。忙しい中で断片的なアドバイスを伝えても素直に受け止めてもらえないことがあるので、一度まとまった形で書きたいと。それに本なら、知りたい人だけが手に取ってくれる。
僕自身がサイエンスの世界に少しいら立ちを感じていたのも理由の1つだ。自然の絶対的な真理に迫ろうと人間がもがくのが科学の営みのはずだが、科学者の中には、成功したい、注目される論文を出したい、偉くなりたい──といった欲の強い人たちが多い。
自然がつくったすごいものの前で科学者はもっと謙虚であるべきだし、みんなで協力して誠実に前に進めていかなければいけないのに、それとはほど遠い現状だ。
──本来手段であるべきものが目的になっていると?
そうだ。少し変な方向に向かっている。人より偉くならなくてもいいから、自分の足で立って、協力して科学を進めていく。そういう風潮が薄まってきている。
でも、僕が尊敬している科学者たちをみると、みんな謙虚に、穏やかに笑っている人ばかりだ。そういうことも若者に伝えたいと思った。
うまくいっている人たちを観察して学んだ
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