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ライフ #神童だったあの子の今

「分刻みで生活を管理」母と正式に絶縁した東大女子…"壊れることができなかった"過去と逃げ出した夜のこと

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少女
(写真:Graphs / PIXTA)
  • 新倉 和花 東京大学法学部卒・麻雀プロ
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何度も表現を変えても、母は無言で×を付ける。娘はやがて、母が買い物に行った隙に模範解答を盗み見て、そのまま書き写すようになった。

「そうすると、『できんじゃん』って、あきれ顔で『やっとかよ』って言われるんです。自分が最初に考えていた答えと、ほとんど変わらないのに」

正解の記述と彼女の答えの記述の差は、「〜だから」という模範解答のところ、彼女が「〜のため」と書いていたくらいのものだった。そしてそうしたことが、頻繁に発生した。丸付けをする母にとって重要だったのは、答案の正しさではなく、答案が「模範解答と完全一致するかどうか」だったらしい。娘のほうも、あきらめず反論するのではなく、答えを写経するという最短ルートで家庭内の紛争を回避することを、小学生のうちに覚えてしまった。

母の「抜き打ちチェック」

同じ小学生時代のある日、小説を自室の机に入れておいたことが、母の「抜き打ちチェック」で見つかった。勉強をさぼって小説を読んでいる、と母は解釈した。そこから3日間、母は無表情で怒り続けたという。

「怒鳴られるというより、淡々と詰められて、こっちも敬語で対応しないとだめなんです。食事・睡眠・勉強以外の時間はすべて立って、謝罪を繰り返す。『○○をして申し訳ありませんでした』を、朝起きた瞬間からずっと」

反省文を書けば、「甘い」と破棄される。土下座しても「誠意が見えない」と返される。じゃあ謝るのをやめようと待ってみると、「なんで謝れないんだ」とキレられる。謝罪の出口が、構造的に用意されていない。そんな中での関係修復の努力は、いつも娘の側からだった。

おだてる。体調を気遣う。ご機嫌をうかがう。10歳そこそこで、彼女は家族関係のマネジメントの技術を身につけていた。

小学生の彼女がすでに気づいていたのは、家庭内では、丸付けも、怒りの終わり方も、すべての判定基準が母の中にしかない、ということだった。

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