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最高気温44度の世界では何が起こるのか? 「学校閉鎖」「死者増」「停電」の《酷暑騒動》が先進国フランスを襲った理由

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熱波 フランス
最高気温44度を記録する熱波がフランスを直撃した(写真:ロイター/アフロ)
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そしてパリ市内のいくつかの公共施設では、セーヌ川の冷水を建物の水管網に循環させて室温を下げる方法が採用されている。冬季に温水を循環させて室温を上げる「セントラルヒーティング」の冷水版で、いわば「セントラルクーリング」とも呼べるものだ。

この冷却事業の運営会社は「Fraîcheur de Paris(フレシュール・ド・パリ)」。1991年に別会社が始めた事業を2022年より引き継ぎ、国民議会や複数の公立美術館、国立図書館、市庁舎、一部のショッピングセンターなどに冷房を提供している。その地下配管は120kmに及び、供給先は約900棟、冷房対象面積は約700万m²と、欧州でも最大規模を誇る……が、この事業は原則的に「パリ市内の公共施設」が対象のため、一般市民で享受できる人はまだまだ限られている。

対策遅れの犠牲になるのは社会的弱者

温暖化の足は環境対策より速く、熱波はもはや真夏を待たずにやってくるようになった。結果的に後れをとった社会で犠牲になるのは、脆弱な高齢者や乳幼児、断熱効率の悪い公営住宅の住人、冷房の設置を後回しにされてきた学校の関係者。そして経費削減で冷房設備の数が限られたり、冷房があっても温度を十分に下げられない公立施設の従業員・利用者たちだ。

2003年の熱波では、多くの独居高齢者が命を落とした。熱のこもった自宅から出ることもままならず、体調不良になっても助けを呼べないまま亡くなるケースが多いのは、日本も同じだろう。

フランスの電子死亡届システムにより、この6月の猛暑で亡くなった人の8割強が65歳以上と判明しているが、このシステムで把握できるのは自宅死亡者の25%相当。フランス公衆衛生庁Santé Publique Franceは、さらに多くの高齢者が犠牲になっているだろうと警告する。

今回の熱波の被害や影響の全体像が分かるのは、もう少し先になる。2003年の熱波では関連死者数が1万5000人に上ったが、もし今回それを上回るようであれば、来年の大統領選でも影響は必至だろう。極右の「国民連合」が従来の温暖化対策を批判して広範なエアコン設置を訴えるなど、野党の中にはすでに、この熱波を政争の具にせんとする動きも出ている。冷房の有無や居住環境の違いが社会格差を浮き彫りにし、SNSでは中央省庁やエリート層への不満が膨らんでいるさまも見られる。

酷暑から夏が始まった2026年のフランス、これからの盛夏の2カ月で暑さ対策にどんな変化が訪れるのか、もしくは今年も「喉元すぎた暑さ」となるのか、注視したい。

末筆ながら余談を一つ。高温多湿の日本に生まれ育った筆者は、冷房嫌いだった亡母の暑さ対策や日本で得ていた熱中症予防法を実践し、地元の人々とは違った心持ちややり方で、この酷暑を過ごした。

ガーゼハンカチを濡らして首に巻いたり(フランスではネッククーラーが普及していない)、スイカをバケツに入れて冷やしたり、「火を使わないレシピ」や「麺の時短調理法」を試したり。仕事で外出せねばならない日に祖母の形見の日傘を使ったら、すれ違う人々に「それいいね」と何度か声をかけられた。「濡れタオルを体にかけて扇風機に当たると、気化熱で涼が取れる」とSNSで読み、寝る時に試したところかなりの効き目で、気化熱での納涼にハマってしまった。日本メーカーのエアコンはフランスでも販路を広げつつあるが、それ以外の暑さ対策でも、日本のグッズや知恵には欧州で需要があるように思う。

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