今回のように、外から見てもわかるようなゴミ屋敷で育った子どもには、特有の影響が出ることがある。
以前、京都で片付けたゴミ屋敷の現場に小学校低学年の女の子が暮らしていた。学区内でもその家はゴミ屋敷として知られていた。近所の人はそれとなく距離を置く。それが親から子どもへと伝わっていく。
下校時、他の子どもたちがにぎやかに連れだって帰る中、その子だけが1人でまっすぐ家に帰っていた。
「その女の子はお母さんが大好きで、お母さんも子どもに依存していました。外の世界から孤立し、母と子ども2人だけの世界に閉じこもっていました」
「ゴミ屋敷」が子どもにもたらす影響
一方、外から見てわからないゴミ屋敷の場合、実は子どもが孤立するケースは少ない。ただ中高生になると、「誰も家に呼べない」という問題が出てくる。
ゴミ屋敷で育った子どもは、大きく2つの方向に分かれる。家が荒れた状態に慣れて自分も同じようになってしまうパターンと、逆に家が荒れた状態への嫌悪感が人より強くなるパターンだ。
かつて二見氏が立ち会ったゴミ屋敷育ちの女性は極度の潔癖症になり、中学生になったあたりから家に帰らなくなったという。
「それでも、大人になると親の家のことを考えられるようになったと言っていました。心の余白ができてはじめて、向き合えるんだと思います」
今回の子どもたちは、40代後半になってようやくその場所に立っていた。長い年月がかかったのは、それだけ複雑な感情が積み重なっていたからだろう。
3日間の作業を経て、16トンの物が運び出された。床と壁が見えるようになった一軒家を前に、子どもたちは変わらず無言のままだった。

