いずれにしても、矢島工場の一部改修をきっかけとしてグローバルでの生産能力が上がり、また「究極の混流×ブリッジ生産」によって、アメリカ関税など市場変化の先読みが難しい状況でも生産に柔軟性を持たせることは可能となる。
今後の電動化、知能化、モデル多様化に対応していく構えが着実にできていると言えるのだ。ただし、大泉新工場は、今回の取材でも明確な稼働開始時期は示されなかった。
スバルの未来が見えてきた
大泉新工場の特徴は、生産工程、開発手番、部品点数の半減を指す「トリプルハーフ」の要となる「太くて短い製造ライン」だ。これを、高効率なメイン工程と、変化を吸収するサブ工程で実現する。
そのほか、変種変量短生産の進化につながる、スバルらいし自働化(※動ではなく働)と、知能化した構内物流による、さらなる高効率な混流生産を目指す。
そうなると、ゼロベースで立ち上がる大泉新工場が今後、他の工場のマザー工場となり、段階的に他の工場の生産体制が変化するのだろうか。
この点について渡邊常務執行役員は「新しい技術進化を考慮しているので、既存の工場をすべて大泉新工場のような形に段階的に変更することはそう簡単ではない」との認識を示した。
本工場、矢島工場、SIAはそれぞれ工場として特色があり、「それぞれの工場で狙う役割を決めたうえで、すべて同じ(体系)にしなくてもよいのではないか」という考え方があるという。
具体的には「大泉は革新的・先進的で、矢島は一定の販売が見込めるモデルを効率的に生産し、本工場では特殊なモデルを少量生産する形」を考慮していることを明らかにした。
本工場では、スバルがいま改めて力を入れ始めているパフォーマンス系やアドベンチャー系などの「尖ったモデル」の生産に特化していくのかもしれない。
今回の矢島工場取材を通じて、スバルの過去、現在、そして未来が肌感覚でつかめたように感じた。

