オルタナティブスクールの特徴の1つに「学習はしたい人がやる」というものがある。
「サマーヒル・スクール(以下、「サマーヒル」)の場合、学期の初めに学びたい教科をスタッフ(同校では、教師はあくまで「同じ学校の一員」として考えられているため、ここでは「スタッフ」と表現する)に伝えます。すると、生徒たちの要望に応じてスタッフがカリキュラムを組んでくれるんです。大学のコマの取り方と少し似てますが、サマーヒルの場合は先に生徒の要望があり、それに応じてスタッフが個別の時間割を作るようなイメージですね」
では、勉強したくないから要望を出さないとか、希望する教科が極端に偏ってしまう、といったことは実際に起きるのだろうか。
「もちろんそういう選択もできますが、実際にはそういう人はあまりいない気がします。でも、サマーヒルに子どもを入学させる保護者は、もしそうなっても構わないと覚悟したうえで入れている人がほとんどだと思うので……それがどうしても不安なら、逆に公立の学校のほうが向いているのかもしれません」
秀樹さんは「サマーヒルでの授業の質は、今振り返ってみても十分な水準を満たしていた」と感じている。「高校の普通科レベルまでは、問題なく教えられるレベルのスタッフが揃っていたと思います」。
イギリスの食事「最初はきつかった」
サマーヒルでは冬と春に約1カ月ずつの長期休みがあり、そのあいだ寄宿舎は閉鎖するため、寄宿生は実家に帰省して過ごす。年2回の帰国時は何が楽しみだったのかを聞くと「やはり食事です。日本では何を食べても美味しいので。当時はハンバーグとか、子どもらしい食べ物を楽しみにしていた記憶があります」。
寄宿舎の食事事情を尋ねると、秀樹さんはなんとも言えない笑みを浮かべながら「まあ……かなり微妙でした」と答えた。定番のフィッシュ&チップスのほか、パスタやピザ、焼きそばのようなアジア系の料理も提供されていたが、「正直、最初は完食するのはちょっと……という感じで、日本からインスタントのものを持ち込んでしのいでいました(苦笑)。でも、それも徐々に慣れていきました」。

