厚生労働省によると、総合労働相談件数は24年度が約120.2万件で、5年連続120万件超の高止まりとなっている。
筆者のケースは、非を認めさせる“闘い”の側面が強い。現在は、「自分で言い出せないから退職・休職代行サービスを使い、代わりに伝えてもらう」という“手軽さ”が主流で、争いは少ない。
東京商工リサーチの25年調査によると、退職代行業者から退職手続きの連絡を受けた企業は7.2%で、そのうち大企業は15.7%。パーソル総合研究所の25年調査では離職者全体の5.1%(約20人に1人)が退職代行サービスを利用したと回答している。
労働者は1人で交渉しなければならない
はたして、退職・休職代行サービスを利用することは甘えなのか。
今の労働者層は就労形態や職場の環境、価値観、ライフスタイルが多様だ。前述の女性社員の状況は特殊なケースだったかもしれないが、甘えや怠慢ではなく、個人対組織という構造が生み出す心理反応として、退職・休職代行サービスを利用するケースはあるのだろうか。
主に労働者の権利を守る、日本労働弁護団所属の和泉貴士弁護士に尋ねた。
和泉氏は「労働相談を長年受けてきた事例として言えること」と前置きしたうえで語る。
「会社は組織的に対応する一方、労働者は1人で交渉しなければならない。“多数vs1人”の構造に精神的圧迫感を感じる人は多い。特に、うつ病などの精神疾患を患っているケースではそうだろう。精神的に追い詰められた状態で『休みたい』『辞めたい』と伝えるのは羞恥心や罪悪感、周囲の目への恐怖が強く働き、つらい」
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【心理反応として、退職・休職代行サービスを利用するケースは?】
