実は筆者も第三者介入で解決を試みた経験がある。
99〜00年、報道機関の正社員だった32歳のとき、1年ほど50代の上司(副部長)との摩擦が続いた。その後、約1カ月間に10回ほど個室に呼び出され、1回につき約1時間、「辞表を書け」と迫られた。
辞めるか否かは、本人の自由意思である。「辞めない」と言うなら、退職を促す行為(退職勧奨)はしてはいけない。意思に反して迫るのは、退職強要であり、不当な行為と言える。しかし、「辞めない」と文書でも意思表示したが、やまなかった。
筆者はやり取りをすべて録音した。複数の弁護士や東京都労政事務所(現・労働相談情報センター)、労働基準監督署に相談した。いずれも回答は「退職勧奨を超えた退職強要であり、不当な行為。民法上の損害賠償請求対象となりうる」だった。
これらの見解を副部長に伝えたところ、さらに悪化した。仕事を完全に取り上げられてしまったのだ。この状態が9カ月続いた末、副部長はある命令をして筆者の机を職場からなくすようにした。
我慢ならず、第三者機関を介して会社側に申し入れを行ったところ、役員らは否定。しかし録音ファイルの存在を伝えると、副部長の行為を認めた。「われわれの彼への労務管理に不備があった」と謝罪をされた。筆者は一定の条件を付け、会社を離れた。
現在は“手軽さ”が主流で、争いは少ない
これは今のように退職・休職代行サービスが一般的になる前の話で、パワハラが社会的に認知されていなかった時代に、個人レベルで公的機関を動かして企業に責任を認めさせた事例だ。
退職や休職に際し、第三者の介在が本格化したのは、雇用不安定になった1990年代からだ。当時は、労働組合ユニオンや弁護士、労働基準監督署などが第三者として労使間紛争やトラブルの交渉や調停に入っていた。
現在のような退職・休職代行サービスは、企業や労働組合、弁護士がその役割を担う。
どちらも第三者が介在し、依頼人の権利や名誉を守る。
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【筆者も「代行」を使って会社と闘った】
