これほどまでに願い、意識して気を付けなければならないほど、かつては疫病が流行し、人々は苦しめられていたかと思いを馳せる。特に京都の夏は、本当に暑さが厳しい。本格的な酷暑が始まる直前の6月30日に茅の輪をくぐって、水無月を食べ、「何とか、みんなで夏を乗り切ろう」という、都人の切なる願いが伝わってくるようである。
昔の人にとって、健康に生きることはそれほど困難だったのだろう。祈りが暮らしの中に自然と根付いているのが、京都の奥深さでもある。
ところで、京都市伏見区の城南宮では、人だけではなく「愛車の茅の輪くぐり」も行われている。こちらでは7月上旬になると、直径5メートルにもなる茅の輪が敷地内の駐車場に設置される。神職がお祓いをし、運転手は車に乗ったまま茅の輪をくぐりぬける。無病息災と共に、現代人らしく交通安全を祈願して。京都の厄払いは、時代に合わせて柔軟に進化しているのである。
紫陽花はわざわざではなく街路樹で楽しむ
さて、6月といえば、紫陽花の季節でもある。紫陽花が美しい寺社仏閣でよく知られているスポットに、宇治市の三室戸寺、大原三千院、藤森神社などがある。最近では、長岡京市にある楊谷寺(柳谷観音)が、美しい花手水でSNSでも人気となった。楊谷寺では6月になると、約25種、5000株もの紫陽花が咲くという。
そうした名所とされる寺社の紫陽花を楽しむのもいいけれど、私が個人的に好きなのは御池通の紫陽花である。御池通とは、京都の東西を結ぶメインストリートで、片側3車線と幅が広く、時代祭や祇園祭の巡行ルートにもなっているところ。特に河原町御池(京都市役所前)から、堀川御池(二条城前)あたりまでは道も広く歩きやすいので、街路樹脇に植えられたさまざまな種類の紫陽花を楽しみながらの散策も良い。
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【息を飲むほど美しい青もみじ】
