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観光客が知らない「京都がもっとも美しい」初夏、京都人が「今月中に食べな、あかんで」と急かす和菓子の正体

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鹿王院、青もみじの参道(写真:active-u / PIXTA)
  • 江角悠子 フリーライター、編集者
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本来は6月30日に食べるものとされているが、昨今では、「6月のどこかで食べておけば残り半年は無事に暮らせる」というゆるやかなルールが採用されている。とはいえ忙しい現代人、気を抜くと一瞬で6月が終わってしまう。6月に入ると京都人の間には、「早く水無月を食べなければ」という妙な使命感が湧いてくる。京都に暮らすなら、「6月に水無月」はクリアしなければいけないミッションなのである。

これが水無月。もっちりやわらかなういろうの上に、甘く煮た小豆がのっている(写真:筆者撮影)

ところで、なぜ水無月は三角形なのか。

京都人が水無月を食べるようになったのは、平安時代だと言われている。当時、宮中の人々は氷室に蓄えていた氷を口にして暑気払いをしていたが、冷蔵庫もない時代、氷は高級品で庶民が口にする機会はほとんどなかった。そこで、氷のかたちを模して作られたのが、三角形の水無月なのだとか。上にのる小豆の赤色には、邪気を祓う意味が込められている。

つまり水無月は、「氷で涼をとり、小豆で厄を祓う」平安時代の人々の願いが、1200年を経た今もかたちを変えずに残ったもの、ということになる。

季節ごとに変わる、和菓子のおいしさに開眼

正直に告白すると、京都に移住するまで私は、和菓子の魅力をよくわかっていなかった。洋菓子のほうが華やかで、わかりやすくおいしい……そう思っていた。しかし京都に暮らすうちに、季節ごとに変わる和菓子のかたちや色、口に含んだときの繊細な甘さに、いつしか心を奪われるようになっていた。水無月もそのひとつである。京都に来てから、ふだんに楽しむ和菓子のおいしさに開眼した。

「双鳩堂」の水無月。ういろう部分が黒糖味や抹茶味のものも(写真:筆者撮影)

6月になると、京都市内の和菓子屋やスーパーなど、いたるところで水無月が並び始める。私は毎年どこの和菓子屋さんで買おうかと、楽しく頭を悩ませることとなる。甘さももっちり具合もさまざまなので、いくつかのお店の水無月を買って食べ比べるのもいい。

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【茅の輪をくぐり無病息災を願う】

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