法の専門家である岡村弁護士が、「大事なのは人間関係。法律は人の気持ちを縛れない」と断言することを、筆者はかなり大事な点だと感じました。なぜならそれは、約20年もの長期間、離婚紛争から離婚後のサポートまで担ってきた経験のうえでたどり着いた実感だからです。岡村弁護士は、こうした依頼者との関わりも「町弁の醍醐味」と語ります。
離婚後の親子交流では、別居親と同居親それぞれがさまざまな思いを抱えます。別居親は、交流の頻度や時間に不満を持ったり、同居親の育児を不安に感じたりすることもあります。加害による離婚だと、親子交流によってDV被害者のPTSDが発症し、何日も寝込んでしまうこともあります。虐待などの問題が起きるリスクもあります。
親子交流支援で大事なこと
岡村弁護士は、「親子交流の支援で大事なのは、中立の立場であることと、リスクなどを見極める人間観察力と、葛藤を下げるための仲裁能力。過去に加害があった場合には、被害者のメンタルサポートやケアも大切です」と言います。岡村弁護士は地元の依頼のみ受けているのですが、それは被害者と支援者をつなげやすいということもあるそうです。
また、岡村弁護士の依頼者には、理不尽に子どもと会わせてもらえない別居親もいます(参考:前回記事)。その場合でも、子どもが通う園や学校などの迷惑になるような押しかけ方をしないでいると、周りが気の毒に思って同居親に内緒でこっそり会わせてくれることもあるそうです。そんな親子交流もあるのか、と驚きました。
また、岡村弁護士は共同親権に懸念を持つ理由のひとつにも親子交流があると言います。
「かつて私は、親子交流を条件に離婚を受け入れてもらえるならと親子交流を推進しすぎました。その結果、同居親や子どもを傷つけてしまった。
私は共同親権も同じようになる可能性があると思っています。共同親権を条件に離婚してくれるなら、と安易に決めてしまうと、離婚後も苦しむかもしれない。親同士の教育方針が異なっている場合、争うばかりで何も決められない事態を招くかもしれない。
過去の反省からも、共同親権にするかはよく制度を理解し考えてから決めて、と声をあげているんです」
さらに岡村弁護士は「国は離婚事件の追跡調査をしてほしい。家裁が関与した事件が、その後、どういう親子交流が行われ、養育費がちゃんと支払われたのか、問題は起きていないのか。離婚事件は、長期で見ていかないと、何が最善なのかはわからないんです」と主張します。
次回も引き続き、岡村弁護士のインタビューです。「合意のない共同親権」について伺います。

