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「みこしは重くて独裁者」と高市首相にすり寄る自民党の実力者たち、「国力研究会」に付きまとう"うさん臭さ"の正体

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高市首相
高市早苗首相を支援する新グループ「国力研究会」は5月21日に初会合を開く予定だが…(写真:ブルームバーグ)
  • 泉 宏 政治ジャーナリスト
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高市首相はもともと、「派閥的な動きを嫌う一匹狼的な政治家」(政治ジャーナリスト)とみられてきた。自民党の歴史的大勝につなげた年明けの「冒頭解散」でも、党中枢の麻生氏や鈴木俊一幹事長への事前根回しをしなかったことで、「麻生、鈴木両氏が怒り狂っていた」(党幹部)のは周知の事実だ。

そうした高市氏の政治手法が「国民の目には自民党的な“悪弊”を拒絶するリーダーと映り、支持率アップにつながっている」(政治ジャーナリスト)ことも否定できない。高市氏自身も「そうした国民感情を十分意識し、今後も“高市流”を貫くことが政権安定につながると考えている」(官邸筋)とみられている。

ただ、ここにきて党内から「憲法改正や非核三原則の見直しなど、まさに国論の分かれる重大な政治課題の実現を目指すには、党内の本当の結束が不可欠」(有力議員)との声も相次ぐ。それも踏まえて、高市首相もここにきて「これまでは避けてきた夜の会合を自らセットすることで、党内融和に努めるようになった」(官邸筋)とされる。

まず、大型連休前の4月21日夜には、坂本哲志衆院予算委員長ら自民党所属の同委関係者を首相公邸に招き入れ、夕食を共にしながら約2時間懇談した。高市首相は2026年度予算の国会審議の際、困難視されていた3月中の予算成立を党内に強く指示し、坂本氏が「委員長職権」を乱発して衆院通過を急いだ経緯がある。出席者によると、首相は満面の笑みで坂本氏らの労をねぎらったとされる。

これに続いて5月8日夜には、自民党の梶山弘志国会対策委員長ら国対幹部と、首相公邸で酒食を共にしながら約1時間半歓談した。この席で高市首相は26年度予算の成立について「お疲れさまでした」と慰労したうえで、7月の国会会期末に向けて「後半国会もよろしく」と頭を下げたという。

実態は面従腹背の脆弱な“みこし”か

とはいえ、こうした高市首相の“変身”も、党内の受け止め方は複雑だ。多くの議員は「支持率が高い間は黙って従うが、本音は別の“面従腹背”組が少なくない」(自民党長老)という実態があるからとみられている。

振り返ると、政界では一昔前、時の首相を「みこしは軽くてパーがいい」と揶揄する言葉が飛び交ったことがある。今、自民党内ではこれを引き合いに「みこしは重くて独裁者」(党幹部)と肩をすくめる議員も多い。そうした中で、憲政史上初の女性リーダーとして、過去にほとんど例のない超高支持率を背景に、憲法改正や非核三原則見直しなどに挑むのが高市首相だ。

しかし、泥沼化しているイラン情勢の影響もあり、「国民が期待している物価高対策や、そのための食料品非課税は実現困難」(自民党税調幹部)との声が上がっている。それだけに「新グループ結成で政権は一段と安定するように見えていても、政策の失敗で支持率が急落すれば、皆が手を放してみこしが落下する」(自民党長老)といった厳しい見立ても少なくない。

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