現在、台北市や新北市が「ネズミは大幅には増えていない」と判断する際の主な根拠は、市民から寄せられる苦情件数だとされる。26年5月の議会答弁でも、蒋万安市長は「通報件数は減少傾向にある」と説明した。
しかし議員側は「通報が減ったのではなく、市民が諦めて通報しなくなっただけではないか」と反論。そのうえで、「トラップ調査などによる専門的な個体数調査を、長年実施していない」と厳しく追及した。
科学的な監視体制の不在が問題に
つまり、「ネズミ駆除用の薬剤予算」は存在する一方で、「ネズミがどこに、どの程度生息しているのかを科学的に把握するための定量調査予算」が十分に確保されてこなかった、というのが問題視されている点だ。
科学的モニタリングが行われず、市民からの苦情ベースで対応する「受け身型」の対策へ傾いていたことが、今回の被害拡大や初動の遅れにつながったとの見方も出ている。
現在、台北市は5月以降の苦情急増を受けて、市内12区で一斉清掃を開始している。ただ、現地メディアでは「科学的予測に基づく先手対応ではなく、社会問題化してからの後追い対応だ」との批判も繰り返し報じられている。
