また、日本では、殺鼠剤への耐性を持つ「スーパーラット」の存在が話題となった。一方、台湾では、気温上昇による繁殖速度の加速に注目が集まっている。
行政対応にも差が見られる。日本では、渋谷区など各自治体単位での対策や、民間事業者への協力要請が中心だった。これに対し台湾では、市長主導による一斉清掃に加え、環境部など中央政府とも連携した大規模対策が進められている。
ハンタウイルス感染症は、主にネズミの糞尿に含まれるウイルスを吸い込むことで感染するとされる。そして、日本と台湾の過去10年ほどの状況を比較すると、両国の差は極めて対照的だ。
ハンタウイルス感染が2例発生
台湾疾病管制署(CDC)の発表によれば、2026年1月には台北市大安区で70代男性が死亡し、5月には新北市で今年2例目の感染が確認された。台湾でハンタウイルスによる死亡例が確認されたのは2000年以来とされる。
一方、日本では、ウイルス自体は自然界に存在しているものの、人への感染は極めてまれな状態が続いている。
日本の国立感染症研究所(NIID)などによれば、日本国内では、自然界のネズミからヒトへの感染例は長年確認されていない。ただし、北海道のヤチネズミや都市部のドブネズミからは、現在もハンタウイルス関連の抗体や遺伝子が検出されている。
つまり、日本にも潜在的なリスクは存在するものの、衛生管理や環境対策によって、人への感染拡大が抑えられている状況だ。
このような中、台北市や新北市でのネズミ被害をめぐっては、「監視やモニタリング関連の予算が削減されたことが、対応の遅れにつながった」との指摘が一部で広がった。
しかし、公的な予算資料を確認すると、台北市のネズミ対策関連予算は、過去10年以上にわたり減少どころか増加傾向にある。
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【ネズミ増加は台北市の政策転換のせい?】
