そもそも、なぜ台湾でネズミが増加しているのだろうか。国立台湾大学の専門家や行政当局は、複数の要因が重なっていると分析している。
まず、気候変動の影響で冬場の気温が高止まりし、ネズミの繁殖サイクルが早まっていると指摘されている。さらに、飲食店やフードデリバリー文化の拡大に伴い、餌となる食品廃棄物が増加したことも背景にあるという。
駆除と生態系保護の両立が課題に
加えて、東京と同様に、台北周辺でも再開発が急速に進行している。古い建物の解体が相次ぐ中、生息場所を失ったネズミが周辺のビルや公共空間へ移動しているとみられている。
行政側では、強力な殺鼠(さっそ)剤の配布も検討されている。これに対して環境保護団体からは、「食物連鎖を通じ、都市部に生息するオオタカなどの猛禽類へ二次被害が及ぶおそれがある」との懸念も示されており、駆除と生態系保護の両立が課題となっている。
日本でも23年から24年にかけて、東京を中心にネズミ問題が大きく取り上げられた。その際の状況と現在の台湾を比較すると、発生要因や健康リスク、行政対応には明確な違いが見られる。
日本でのネズミ増加の主因は、都市再開発による古いビルの解体や、コロナ禍後の人流変化だとされている。一方、台湾では再開発だけでなく気候変動、都市の過密化、食品廃棄物の増加など、複数の要因が複雑に絡み合っているようだ。
健康リスクにも違いがある。日本では、ネズミによる咬傷被害や衛生面での不快感、食中毒リスクなどが主な問題だった。これに対し、台湾では、ハンタウイルス感染症による死亡例が確認されるなど、感染症リスクへの警戒が強まっている。
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【ハンタウイルス感染例も】
