三菱UFJ銀行と同様に高専卒業生を採用する動きは、金融業界全体にも広がっていくだろうし、産業界全体としても強まっていくことはまちがいなさそうだ。そうなると、“高専卒業生の奪い合い”が必ず起きる。
15歳で高専に入学して専攻科を卒業するには7年かかるので、年齢は大卒と同じということになる。しかし大卒の場合、高校での3年間と大学の教養課程という専門分野とは直接関係のない勉強に時間をとられることになる。
それに比べて高専の場合、入学と同時に専門分野を視野に入れた勉強をすることになる。三菱UFJ銀行人事部が指摘するように「専門性の高い技術力と実践的な教育から得られる力」が身に付くわけで、つまり“即戦力”となる。2040年問題を控えて、全産業が喉から手が出るほど欲しいのが即戦力である。
とはいっても、高専卒業生にも限りがある。高専の数は現在、全国に国立51校、公立3校、私立4校が存在しているだけだ。これだけの学校で、産業界が必要としている即戦力を供給できるわけがない。


需要に応えるためには、高専の数を増やすしかない。そのために文科省は今年度から、高専を新設した場合の助成金を1校あたり最大20億円と、これまでに比べて倍増することを決めている。その対象としては、工業高校などが高専に転換する場合も含まれる。
新設だけを支援するわけではない。既存の高専がAIや半導体、量子、造船、バイオといった経済成長に資する分野の学科・コースを設置する場合にも、10億円を上限に助成することになっている。
愛知県、福岡市、滋賀県…支出を抑えながら高専新設へ
こうした支援申請の公募を文科省は始めていて、今年8月ごろには対象を決定することになっている。すでに、高専新設の動きも始まっている。
愛知県の大村秀章知事は昨年11月、県立高専の設置を目指すことを記者会見で明らかにしている。開校は、最短で29年4月になるという。
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【少子化の中で生徒が集まるのか?】
