週刊東洋経済 最新号を読む(5/23号)
東洋経済オンラインとは
キャリア・教育

三菱UFJ銀「高専卒業生」の採用を開始、産業界から熱視線の"高専"に自治体も前のめり、ただ「新設計画」はやや弱腰の訳

7分で読める
就職活動
三菱UFJ銀行での高専卒業生の初任給は専攻科修了で大学卒と同等(写真:マハロ / PIXTA)
  • 前屋 毅 フリージャーナリスト
2/4 PAGES

三菱UFJ銀行が高専卒業生を募集する背景には、「2040年問題」といわれている深刻な人手不足がある。

政府は日本成長戦略会議の下に「人材育成分科会」を設置し、その初会合が2026年1月26日に開かれた。

そこに経済産業省が最新の就業構造推計を提出したが、40年にはAI・ロボット等の利活用を担う人材が339万人も不足するとの推測が示されている。放っておけばAI・ロボット等の活用を担う人材が不足し、この分野で日本は遅れをとってしまうことになりかねない。

かなり深刻な状況であり、三菱UFJ銀行もシステム・デジタル分野での人材不足を克服できなければ企業としての成長に痛手を被ることになるかもしれない。そうした事態を回避するためには、高専卒業生も採用して人材を強化することが必要であり、そのための高専卒業生の募集である。

もちろん、三菱UFJ銀行だけの問題ではなく、ほかの金融機関、多くの日本企業も同じような課題に直面している。そして、三菱UFJ銀行と同様に高専出身者採用に意欲をみせているところもある。

産業界における理工系人材の不足は始まっている

こうした事態を、人材を育てる役割を担う文部科学省としても見過ごすわけにはいかない。

25年11月14日の閣議後会見で松本洋平文科相は、「PISAによると高校1年生段階の調査では数学的リテラシーなどが非常に高水準にあるが、大学の理工系などの入学定員が少なく需要に対応できていない」と述べている。

AI・ロボット等の利活用を担う人材、いわゆる理工系人材が不足しているのは、大学の理工系学部の入学定員が少ないことだという認識をもっている。

すでに手も打ち始めている。文系学部中心の私立大学が理工系に転換するための支援として文科省は、25年度補正予算で1100億円を計上した。それ以前にも、理工系学部を増やすために3000億円規模の基金を22年度に創設してもいる。

ただし、こうした策だけで2040年問題を克服できるわけではない。2040年問題は2040年に急にやってくるのではなく、産業界における理工系人材の不足はすでに始まってもいる。さらに理工系人材の供給を増やす必要があり、そこで注目されてきたのが高専だ。

次ページが続きます:
【愛知県、福岡市、滋賀県…支出を抑えながら高専新設へ】

3/4 PAGES
4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

キャリア・教育

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象