週刊東洋経済 最新号を読む(5/16号)
東洋経済オンラインとは
ライフ

実の娘に性的暴行、元役員(54)に懲役8年確定 実は少なくない親族間暴力、加害者側に共通する「認知の歪み」とは?

5分で読める
(写真:Graphs/PIXTA)
2/4 PAGES
3/4 PAGES

トラウマ研究では、強い恐怖にさらされた際、人は「闘争・逃走」だけでなく、「凍りつき(フリーズ)」反応を示すことが知られている。身体が動かず、声も出せなくなるのである。

前述の内閣府の調査でも、被害に遭った際に「泣く、叫ぶ、抗議する」等の言語的抵抗ができたケースは16%しかおらず、身体的な抵抗をしたケースはわずか11%である。それに対し、「驚きや混乱で体が動かなかった」というケースは23%に及ぶ。

被害者は無力感に支配される

特に、相手が親のような近しい存在の場合、被害者は混乱し、「これはおかしい」と認識することすら難しくなる。さらに、長期的な支配関係のなかでは、「拒否しても無駄だ」という心理状態に陥ることがあり、これを学習性無力感と呼ぶ。逃げ場のないとき、人は著しい無力感に支配され、相手のなすがままになってしまい、もはや抵抗すらできなくなるのである。

親族間の性虐待が深刻なのは、その後の人生への影響がきわめて長期に及びやすいからである。被害者は、複雑性PTSD(慢性的なストレス状態による心的外傷)、うつ、不安障害、自己否定感、対人不信、自傷行為、性的問題など、多面的な困難を抱えることがある。

特に、「本来守ってくれるはずの存在から傷つけられた」という体験や、親から加害を受け裏切られたという体験は、人間関係の基本的信頼感を深く損ないやすい。

次ページが続きます:
【トラウマ治療の中身】

4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象