キノシタが「イワサキの性格がわかるゲーム」をしようと提案し、「好きな指をひとつ選んでほしい」と両手の5本指を広げると、イワサキはしばし間を空けて「……タッチ」と軽くその手のひらを弾く。思わずキノシタがフッと声を漏らし、イワサキもウフフッと身をくねらせる。
「……大胆な性格や」とキノシタ。続けて「でも、そんなことしてたらみんなにいつか嫌われちゃうで」と口にすると、途端にイワサキはうつむいてしまう。
「落ち込んでる?」「落ち込んでない」「お腹空いた?」「空いてない」などと問答を繰り返す中で、「俺のこと好き?」と尋ねると、イワサキはたっぷりと間を取ってキノシタのほうに顔を向け、「好きじゃない」と笑顔を見せる。
決して爆発的な笑いは生まないが、交際前の秘かな駆け引きを目の当たりにしているようでニヤニヤしてしまう。大学生というモラトリアム期間も、その鮮度とリアリティーを浮き上がらせていたのかもしれない。
大学時代から明言「プロには100%ならない」
「今後は……収束していきますね、ピ夜としては。解散とかではないんですけど」(キノシタ)
「私が卒業します、ピ夜……一旦」(イワサキ)
26年4月2日配信の『納言幸のやさぐれ酒場』の中で、2人はこう語った。
23年、24年に慶応義塾の学生団体である「お笑い道場 O-keis」出身の令和ロマンが『M-1』連覇を果たすと、「大学お笑い出身者は賞レースに強い」というイメージが世間に広く浸透した。
これに付随し「ベストアマチュア賞」も軒並み、大学お笑いの面々が受賞するようになった。23年に早稲田大学「お笑い工房LUDO」のナユタ、24年に筑波大学「DONPAPA」の乙女ブレンド、25年にピ夜。ただ、2組が吉本興業に所属したのに対し、ピ夜は同じ道を歩まなかった。
前述の『あれみた?』でも、大学時代のイワサキは「(プロには)100%ならない」「趣味でサークルとして楽しくやってるんで、それを人生のお仕事にするつもりはない」と明言している。それは、社会人1年目で「ベストアマチュア賞」に選出され、脚光を浴びたタイミングでも揺らぐことはなかった。
もちろんイワサキの性格によるところが大きいだろうが、こうした価値観をキープできたのは関西の大学だったことも関係しているのかもしれない。
同じ「喜劇研究会」出身者ならメイプル超合金・カズレーザー、さらば青春の光・東ブクロら、大阪芸術大学の「落語研究寄席の会」出身者ならミルクボーイ、ななまがり、空気階段・鈴木もぐら、オダウエダ・植田紫帆らがいる。
この顔触れを見ても、関東のお笑いサークル出身者に比べて“我が道を進む”印象が強い。もしも他大学との交流戦が盛んな関東の大学に進学していたら、果たしてピ夜のような漫才は生まれていただろうか。そんな想像が脳裏をよぎる。
次ページが続きます:
【人前に出るのがちょっとNG】
