「すごく真面目だったし、一生懸命だったと思います。だから、昔の自分が間違っていたとは思わないです。ただ、あまりにも一つのルールに最適化されすぎていたんだと思います。
受験というルールの中では、私はすごくうまくやれていた。でも、そのルールが外れた瞬間に、自分を支える別の考え方を持っていなかった。だから脆かったんだろうなと思います。
もし昔の自分に言葉をかけられるなら、『1回ミスしたくらいで終わらないよ』と言いたいです。人生って、本当はそんなに一発勝負じゃない。今は少しずつそう思えるようになりました。
たぶん、ずっと勝ってきた人ほど、1回つまずいたときのダメージが大きいんですよね。自分の価値まで全部なくなったように感じてしまう。でも、本当はそんなことはない。1局落としても、半荘で取り返せる。ひとつの進路がダメでも、人生全体が終わるわけじゃない。その感覚を持てるかどうかって、すごく大事なんだと思います」
現在はプロ雀士&会社員&文筆家
受験では、できるだけミスなく、最短距離で進むことがよしとされる。だが人生は、その感覚だけでは立ちゆかない。どこかでルートを外れたり、思うように進めなくなったり、撤退を選ぶ局面は誰にでも訪れるからだ。
かつて“負け知らず”だった新倉さんは今、プロ雀士として活躍するかたわら、平日は教育・出版系の企業で会社員をしている。4月には初の書籍『東大麻雀』も出版し、文筆家としての人生も歩みだした。
麻雀を通して初めて「降りる」こと、勝ち続けることではなく負けを織り込みながら続けることを知った先の人生。1局ではなく、トータルで考える。その感覚こそが、彼女をもう一度人生の卓に戻したのかもしれない。
