とにかく負けず嫌いで、大人に勝負を挑み、負けたら「もう1回」。相手が手を抜くのも嫌だった。ちゃんと本気でやってほしい、勝つならちゃんと勝ちたいという感覚が強かったという新倉さんの性格も勉強と相性がよかった。
「私にとって勉強は、最初から『やらされるもの』ではなかったんですよね。むしろ『勝負できるもの』だったし、『没頭できるもの』だった。だから親に言われてではなく、自分から『ここに通いたい』と頼んで、塾に行き始めました」
その後、全国屈指の難関女子校である桜蔭中学校・高等学校に進学。高校入学後は東大の受験指導専門の学習塾である鉄緑会に通い始める。
はたから見ると、「大変そう」とか「勉強漬けでしんどそう」と思われそうな環境だが、新倉さんは「むしろ居心地がよかった」と言う。
「そこにいる全員が当たり前みたいに勉強していました。『今日はやる気が出ない』とか『勉強したくない』とか、そういう空気がほとんどない。みんなが自然に机に向かって、自然に問題を解いている。私ももともと勉強が好きだったので、その環境は全然苦しくなかったです」
東大に入学→「何をすればいいか」が見えなくなった
新倉さんは危なげなく東京大学文科1類に現役で合格。法曹を目指し、ひとまず司法試験の勉強を始めた。
大手予備校に入り、時間の融通が利きやすいオンライン受講を選んだが、次第に彼女は追い詰められていく。
「高校までと決定的に違ったのは、周囲が同じ方向を向いていないことでした。大学に入ると、サークルに力を入れる人もいるし、バイトや留学、起業やゼミに打ち込む人もいる。司法試験を目指している人ばかりではない。何を優先するかが人によって全然違う中で、自分はどう進めばいいのかがわからなくなりました」
さらに彼女を戸惑わせたのが、これまでの受験と司法試験の違いだった。
「司法試験の勉強って、小さな数字のご褒美が少ないんです。9時間講義を見たからといって、偏差値が出るわけでも、順位が上がるわけでもない。前に進んでいる感覚がすごく得にくい。そのうえオンライン受講だと、サボろうと思えばいくらでもサボれてしまう。『あとで見ればいいや』と思ってしまうんです」
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【完全な悪循環に陥った】
