確かに、気に入らない席では、出された茶菓子には手を付けない。だが、それでは関係が決裂してしまう。
麻生氏は、2025年の総裁選で高市総裁が誕生した際の立役者だ。1回目の投票では議員票を64票しか獲得できず、80票の小泉進次郎氏や72票の林芳正氏の後塵を拝した高市氏に、2回目の投票で149票もの議員票を獲得させた。もし決選投票での麻生氏の采配がなければ、高市政権は誕生しなかったに違いない。
一方で麻生氏側にも、高市支持のメリットはあった。24年の衆院選に二階俊博元自民党幹事長が出馬せず、26年の衆院選で菅義偉元首相が政界を引退。いまや党内で最長老である麻生氏は、首相経験者としては岸田文雄元首相や石破茂前首相がいるものの、高市氏を首相へと押し上げたことで断トツの存在感を示している。
引退したくても引退できない麻生氏
もっとも、これまで何度か「政界引退」の噂は流れた。後継と目されるのは長男の将豊氏で、23年に公益社団法人日本青年会議所の会頭に就任。1年の任期の後に父親の跡を継いで政界進出かとささやかれた。
しかし、24年の衆院選も26年の衆院選も、麻生氏は長男に選挙区を譲る様子はなかった。その理由について、地元・福岡の関係者はこう述べる。
「昨年10月に行われた国政調査の結果が今年出るが、それによって区割りの見直しが行われる。麻生氏の福岡8区のうち飯塚市の一部が11区に組み込まれる可能性がある。飯塚市は2月の衆院選で3万7446票が麻生氏に投じられた、いわば麻生家の牙城ともいえる地域。それが武田良太元総務相の11区に組み込まれることは、なんとしても阻止したいだろう」
原因は、人口が増え続ける福岡市だ。総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」によると、25年1月1日現在の同市内の「日本人住民」は155万6412人で、20年から4万1962人も増加した。こうした“圧力”が東に向かい、8区から11区へと影響を及ぼすと予想される。
小選挙区区割りについては、10年ごとに行われる大規模国政調査に基づいて都道府県別に定数が是正されることになっているが、中間年の簡易国政調査でも選挙区間の人口格差が2倍以上になると区割り改定案が作成され、速報値の公表から1年以内に行われる。
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【群雄が割拠する「福岡三国志」】
