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WBC騒動で政府も動き出したけれど… "視聴の自由"を約束する「ユニバーサル・アクセス権」が"魔法の杖"にはならない理由

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ネットフリックスでしか見られなかった今年のWBC。ついには政府も動き出す事態に…(写真:Imagn/ロイター/アフロ)
  • 境 治 メディアコンサルタント
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では、UA権が制度化されたとして、次回29年のWBCはどうなるか。

放映権料はさらに高騰するだろう。今回すでに150億円と言われており、次回はそれを超える可能性もある。地上波各局が連合を組んで調達できるとは考えにくい。

むしろ現実的なシナリオは、国内の有料動画サービスの中で最も利用率が高いAmazonプライムビデオが権利を獲得し、一部の試合を特別に開設した無料視聴枠で配信する形ではないか。それは、高齢者が望んでいる「地上波テレビによる全国民への無料放送」とはまったく異なる姿だ。

欧州が1990年代に設計したUA権制度を、メディア環境の進化が遅れた日本が今から議論しても、当時と現在では状況が根本的に違う。制度化の議論が決着するまでに、メディア環境はさらに変化するだろう。

有識者会議で議論すべき3つの問い

有識者会議に期待がないわけではない。だが、UA権の制度化を「魔法の解決策」と捉えると、実態に沿わない法律ができるだけになりかねない。

問うべきは「誰が放映権料を負担するか」「地上波は今後も普及手段として有効か」「相手が外国企業でも制度は機能するか」という3つの根本的な問いだ。それを直視しないまま制度論に走っても、次のWBCで国民みんなが納得して試合を楽しめる未来は訪れないと私は考えている。

さらに言えば、次のWBCでは大谷が出場しない可能性もあり、そうなると高齢者は途端に興味を失うのではないか。見たいのはWBCではなく、大谷なのだから。せっかく制度を作っても、国民の側が必要としなくなることを懸念している。

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