1年間、腰を据えて富山にいたことは非常に効果があり、住民の方々との距離がグッと近づいた。また、長年、運転免許は持っていなかったが、富山に来る直前に免許を取得。これは地方暮らしに大いに役立った。
最もよい効果があったのは、飼っている犬の存在だった。犬の散歩で朝晩毎日歩いていると、犬がアンバサダーになってくれて、畑やあぜ道などで住民の方と挨拶し合うようになった。
「やはり犬がいると話しかけやすいですから、声かけてくれる方が多かった。こちらに来る前から飼っていましたが、いずれこの子と自然豊かなところで快適に暮らしたいという思いは根底にあったと思います」
2棟目の建物を宿泊所に
富山で1年暮らした後は、状況に応じて東京と行き来する生活になった。
夫と一緒に経営している照明販売の会社は東京にあり、仕事の事情でどうしても東京に戻らなければならないことも少なくない。また、80代の母も東京に住んでおり、病気の看病の関係で戻る必要が出てきた。
だからこそ、五箇山での生活は米津さんにとってもかけがえのないものになっていった。
「東京にいるときは、五箇山での生活が一層恋しくなります。人間関係は濃密で、地域の人とはほとんど知り合い。私たちのように東京から来た夫婦は珍しく、すぐに覚えてもらえました」
2棟目の住宅は、1棟目取得から2年後である23年に購入した。
「市の方からもこの建物が売りに出されることは聞いていましたが、地域の人が『米津さんたちが買えば?』と言ってくれたことがきっかけでした。地域の方々に受け入れていただいたと思うと本当に嬉しかったです。こうした経緯もあり、今度は自分が迎える立場になって、この2棟目の建物で新しい風を呼び込む一助になりたいと考えました。そこで、簡易宿泊所の許可も取りました」
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【地方に住むという決断に、夫は…】
