楽雪住宅は、雪深い地域の実情に合わせた「落雪構造」になっている。急勾配の屋根が金属板でふいてあり、雪が自然に滑落するというものだ。五箇山の古くからの合掌造りももちろん素晴らしいが、この住宅は日本の伝統建築への敬意を払いつつ、現代の暮らしにも適合した形である。
「本当に素敵な家ですぐに惚れ込み、1棟を購入しました。その後、隣接する旧コミュニティセンターで、同じ造りの建物も売りに出されることになり、この1棟も買いました。この楽雪住宅はコテージのように6棟並んでいるのですが、そのうち2棟を手に入れました」
楽雪住宅はただ雪がうまく落ちる構造になっているだけではない。6棟全体が特徴的なベンガラ色の2階建ての木造住宅で統一されており、外観も五箇山の豊かな自然や集落に合うように設計されている。公営住宅においてこのような明確なコンセプトを持つ住宅は珍しい。
「この楽雪住宅は他の住宅とはまったく違います。五箇山がいい場所だから暮らしたいというのはもちろんですが、とにかくこの家で暮らしてみたいという思いが強かったです。ホテルや旅館に泊まってたまに来るのではなく、自分の居場所が欲しいと思いました。
私の場合、海外生活が長かったせいもあって、1つの場所に“ずっと住む”感覚が薄く、住むこと自体が移動するような軽やかな感覚です」
1年間は腰を据えて富山で暮らした
1棟目の楽雪住宅を購入したのが21年5月。最初の1年はほとんど富山で暮らしたという。北陸という地域はよそ者に厳しいとも言われ、実際になかなか地域になじめず悩む人は多い。
「当初から東京と富山を行ったり来たりすることになると思っていましたが、はじめの1年は、ほぼ富山にいたので移住状態でした。この1年は慣れるために奮闘していた感じです」
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【飼っている犬の存在で地域に溶け込めるように】
