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ライフ #ジモトのアタリマエ──観光客の知らない知恵と常識

「噴火よりも風向きが問題」「公衆浴場が天然温泉」…ジモトしか知らない鹿児島の"観光名所"と"日常"の境界線

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名山堀
桜島の噴火は、鹿児島人にとっては日常の風景(写真:T.Amakusa/PIXTA)
  • 横山 瑠美 ライター・ブックライター
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2018年6月、朝8時30分ごろに遭遇した「ドカ灰」。車の助手席から撮影。天気は晴れなのだが、あっという間に暗くなった。横断歩道の白線も灰で消えた。視界が悪いため車はライトを点灯し、スピードを落として運転していた(写真:筆者撮影)

噴火よりも風向きのほうがずっと気になる

灰を浴びると髪はバサバサ、ゴワゴワになって不快極まりない。風の強い日でコンタクトレンズでもしていたら、目など開けていられない。

風向きが自宅方向の日に洗濯物を外干ししていたら最悪だ。鹿児島人なら誰しも洗濯物を灰だらけにされた経験があるはず。灰と雨が一緒に降る「灰雨(はいあめ)」だと、服に点々と黒いシミがつく。車を洗車した途端、桜島が噴火して灰だらけになるのも「鹿児島あるある」だろう。

ちなみに、鹿児島の一部地域には屋根付きのお墓もあるが、あれは日除けと灰除けが目的だ。

実家の墓がある墓地。屋根によって火山灰や強い日差しから墓石や生花を守る役目がある(写真:筆者撮影)

降灰の影響は、自分のいる場所が風上か風下かで全く変わってくる。そのため、鹿児島のローカルニュースでは、天気予報の後、当然のように桜島上空の風向きを知らせる「降灰予報」がある。桜島が噴火した場合、降灰がどの方向に飛んでくるかを知っておくためだ。地方紙の南日本新聞も、自宅方向に灰が飛んできそうなときにお知らせする「桜島降灰メール」のサービスを提供している。

噴火よりも風向きのほうがずっと気になる。それが鹿児島人なのだ。

大量の灰が降ったら、各戸に配布される「克灰袋」に入れて指定の場所へ。ごみ回収のように持っていってもらえる(写真:渡邊トシ/PIXTA)

しばらく噴火がないと「最近はやけにおとなしいな」と思うのだが、わが家では「言うと噴火する」というジンクスがあり、あえて話題にしないようにしていた。こんなふうに普通に暮らしていても否応なくその存在を実感させられるので、わざわざ桜島に行くことがなかったのかもしれない。

筆者が桜島に行くようになったのは、社会人になってからだ。桜島フェリーを降りて車を走らせると、道沿いはゴツゴツとした溶岩に覆われており、今にも岩かげから恐竜が現れそうな雰囲気。初めて見たときはタイムスリップしたようで気分が高揚した。

観光で鹿児島市に来たのなら、桜島の雄大さはぜひ現地で味わってみてほしい。鹿児島市から桜島に行くなら、桜島フェリーがおすすめだ。15分で桜島に着く。有村溶岩展望所や湯之平展望所といった展望ポイントを回って、桜島の迫力も間近で体感してほしい。運がよければ(?)降灰の洗礼も受けられる。

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【地元民のおすすめスポット「名山堀」とは】

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