国際線におけるステータス喪失の影響は、単なるラウンジ利用資格の有無にとどまらない。例えば、ユナイテッド航空の「ベーシックエコノミー」といった低価格運賃を利用する場合、通常は1個目の受託手荷物から50ドル(約7500円)もの追加料金が発生する。これまではSFC会員であれば追加費用が免除されていたが、こうした優遇措置が今後は一切受けられなくなる。
今回の改定がとりわけ「衝撃的」と受け止められているのは、新規入会者だけでなく、既存の会員にも原則として一律で適用される点だ。
ライバルの日本航空(JAL)も24年に同様の上級会員システムの制度改定を行っているが、既存会員の待遇は維持する形をとった。対照的に、既存顧客にまで大ナタを振るったANAの姿勢からは、背に腹は代えられない切実な事情が透けて見える。
ANAがこれほどまでに厳しい決断を下した背景には、ステータス獲得のために飛行機に乗り続ける「マイル修行」と呼ばれる行為の一般化がある。
ここ数年、地上波のバラエティー番組で芸能人がステータスを獲得するための「修行企画」が定期的に放送されるなど、上級会員の仕組みは広く認知されるようになった。さらにコロナ禍においては、上級会員になるために必要な搭乗実績を倍増させる救済キャンペーンが頻発したことで、SFC会員も急増した。
その結果として、羽田などの主要空港ではラウンジが常時満席となるなど、本来の「上得意客」であるヘビーユーザーが満足にサービスを享受できないという、本末転倒な事態を招いていた。
いわば「1年だけ無理をして飛行機に乗り、あとは相対的に低額な年会費でラウンジを使い続ける」という会員のモデルが、もはや維持できない段階に達したといえる。半永久的なステータス維持に魅力を感じていた会員からは失望の声が上がる一方、ラウンジ利用の逼迫などを身をもって体験していた会員からは歓迎の声が上がっているのも事実だ。
一般ANAマイラーに検討してほしい3つの対策
では、今後もラウンジ利用などの権利を維持するためにはどうすればいいか。現実的な対策は大きく分けて3つ考えられる。
1つ目は、決済をANAカードに集約し、300万円の壁を突破する王道的な手法だ。ANAが公表している対象決済は、通常のクレジットカードキャンペーンより幅広く、税金や一部の電子マネーチャージも含まれる見通しだ。
また、三井住友カードなどの提携ブランドであれば、クレジットカードで投資信託を自動購入する、月10万円(年間120万円)の「クレカ積立」が可能だ。実質的な「残り」の決済額は180万円となり、月平均15万円の通常決済で到達できる計算だ。この金額であれば達成可能だと思う会員も少なくないだろう。
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【2つ目の対策とは?】
