一方で、車内はシンプルなデザインとしていたのが印象的だ。これは、OTA(Over The Air)によるソフトウェアのアップデートによって機能を拡充するために、飽きのこない意匠を心がけたのだと推測する。
ブリアの価格は、後輪駆動車が89万9000台湾元(1台湾元=5円換算で、約450万円)で、日産「リーフ」と同程度である。
OEM供給を進化させた次世代自動車産業体系
こうしたホンハイのEV事業については、「ホンハイが得意なEMS的な発想が、EVでも通用するのか?」という声が自動車産業界から聞こえてきた一方で、アメリカを筆頭にEV市場普及のめどが立たない、いわゆる“踊り場”にある状況を踏まえると、自動車メーカーから見て実質的な外注であるホンハイ側のビジネスモデルがハマるケースが増えているとも言えるだろう。
台湾の自動車市場の規模は近年、40万台半ばで推移している中、ホンハイによるEVの基礎技術、コンポーネンツ、そして生産技術を海外に販売するという新しい発想が実に新鮮に映る。
これまでOEM供給と呼ばれてきた、他社ブランドを製造するビジネスモデルは、日本では軽自動車で広がったほか、オープンカーなどの少量生産でイタリアのカロッツェリア各社が事業化した事例がある。
そのうえでホンハイのEVビジネスモデルは、こうしたOEM供給をさらに進化させた次世代自動車産業体系と言える。
日本の自動車産業界としても、ホンハイの顧客になるだけではなく、日本の自動車産業構造を抜本的に変えるための“教訓”としてホンハイの事例を精査する必要があるのではないだろうか。
