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「サンタさんっていないんでしょ?」子どもの問いにAIは100点の答えを出したが…"サンタ問答"が示す「優しい嘘」の必要性

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見つめ合う親子
「サンタさんって、本当はいないんでしょ?」と聞いたときの生成AIの答えとは(写真:kikuo/PIXTA)
  • 安井 政樹 札幌国際大学 基盤教育部・教職センター准教授
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なぜAIの回答ではダメなのか。それは、問いの背後にある子どもの揺れや迷いに向き合わず、「わかりやすい物語」だけで問いを閉じてしまうからです。

「サンタさんって、いないんでしょ?」

という問いは、単なる事実確認ではなく、信じたい気持ちと疑い始めた自分とのあいだで揺れ動く、成長の途上にある問いです。

その問いに対して、AIのように「信じている限り存在する」「幸せな気持ちこそが奇跡だ」と答えてしまえば、子どもは一見、納得したようにふるまうかもしれません。

しかしそこには、

「信じ続けたい自分はどうしたらいいのか」

「疑ってしまった自分は間違っているのか」

といった、子ども自身が抱えている葛藤(かっとう)に向き合う余地がありません。

道徳教育が大切にするのは、正解を与えることではなく、問いのなかで立ち止まり、自分なりに考え続ける経験です。AIの答えは、情報としては正しく、美しく整っていますが、子どもが「どう生きるか」「どう受け止めるか」を考えるための余白や揺らぎを残していないのです。

「サンタさんっていないんでしょ?」という問いは、未熟だから出てくるのではありません。むしろ、信じることと疑うことの両方を引き受けようとし始めた証(あかし)です。

だからこそ大人は、すぐに物語で包み込むのではなく、

「どうしてそう思ったの?」

「もし、いなかったとしたら、何が変わると思う?」

と問い返しながら、子どもと一緒に考える必要があるのです。

「答えにくい質問」こそ親に答えてほしい

一方、「ねえ、サンタさんって、本当はいないんでしょ?」という質問をされたとき、親は、子どものそのときの年齢、表情、それまでのクリスマスの思い出、そして何より「いま、この子が何を求めてこの質問をしたのか」という背景を、瞬時に全身の感覚で読み取ります。そして答えを選びます。

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その結果として、あえて「どう思う?」と問い返して子どもの想像力を広げることもあれば、「信じる人のところにだけ来るんだよ」と、夢のあるウソ(ファンタジー)をそっと手渡すこともあります。

なぜ私たちは、「夢のあるウソ」のような「非科学的なこと」をするのでしょうか。

それは、幼少期に「目に見えない他者の善意を信じる」という経験が、その子の心をどれほど豊かにし、世界に対する根源的な信頼感を育むかを知っているからです。

サンタクロースを信じる心は、単なる知的な未熟さの証ではありません。それは、他者の思いやりを想像し、効率や論理だけでは割り切れない「人間関係の豊かさ」を受け入れるための、大切な準備運動なのです。

AIは「正しい情報」をくれますが、私たちのことを心配し、慈しんで言葉を選んでくれるわけではありません。一方、サンタさんの問いに対する親の答えには、AIには決して生成できない「親心」という名の愛が宿っています。

ファンタジーを守り抜くことは、現実逃避ではありません。むしろ、世界に対する豊かな感受性を育て、将来、AIと対峙(たいじ)したとき、その「データとしての正解」の背後にある、人間の体温や物語を感じ取れる大人になるための、最も重要なステップなのです。

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