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「ピンピンコロリ」は本当に幸せ?法医学者が一番いいと思う「理想の死に方」《「人生100年時代」に求められる健康戦略》

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避けられない「死」。理想の死に方として「ピンピンコロリ」を望む人も多いのですが……(写真:Luce / PIXTA)
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しかし、これは原因と結果が逆です。このおばあちゃんはステーキを食べるから長寿になったのではなく、自分の歯で肉を食べられる丈夫な歯と筋肉があり、胃腸が元気だからステーキも食べられるだけなのです。

突然死せず、穏やかな最期を迎えるためには、このように体力を維持しながら徐々に老いていくことが重要になります。そのためには、日常の食事や睡眠、仕事、休息のバランスを取ることを意識しなければなりません。

「気力」も充実させることが大切

一方で、自分の体力を過信しないことも大事です。年齢を重ねれば、たとえ自覚症状はなくても体力は落ちているという自覚を持ちましょう。

安全に対する考え方として、「アクティブセーフティー」と「パッシブセーフティ」という考え方があります。

「アクティブセーフティー」とは、「事故が起きる前に、事故を未然に防ごうとする」考え方を指します。これに対して、「パッシブセーフティー」は、「事故が起きた場合の被害を最小限にする」という考え方です。

例えば、シートベルトやヘルメットを着用するのは、事故が起きた時の被害を最小限にするためですから「パッシブセーフティー」になります。これは私の印象ですが、日本人はどちらかというと「パッシブセーフティー」を重んじるのではないでしょうか。

一方、自分の身体の状況や判断力について客観的に判断し、「そもそも危険なことはしない」判断ができるなら「アクティブセーフティー」の意識が高い、と言えます。

パッシブセーフティーだけでなく、アクティブセーフティーの意識もバランスよく持って行動してください。

ほかにも病院嫌い・医者嫌いを克服する。定期的に健康診断を受けてデータの推移を確認する。専門の異なるかかりつけ医を2人以上持ち、気になることがあれば相談できる環境を整えておく。

これらを心がけることで、突然死する確率はだいぶ下げることができます。特に長生きしたくなくても長生きになってしまう時代ですから、体力とともに気力を充実させることも必要でしょう。

いくつになっても趣味を続けている人、新しいものに興味関心を示す人、役割を持っている人は80歳を超えても元気な人が多いです。私は出身地の地元の町内会の役員を担当しており、そこにいる幹部のおじいさま、おばあさまたちはみなさん、すこぶる元気です。

無茶はいけませんが、目についたことで「やりたい」と思うことがあったら、年齢に関係なく、いろいろチャレンジしてみることをおすすめします。やりたいことはいくつでも並行してやっていいし、中途半端でもいいし、好きなときにやればいいと思います。

「上達する」「極める」「ゴールを目指す」というより、「やってみる」ことに意義があると考えてみてください。それが、気力を充実させることにつながります。自分がこれから年を取るとどうなるのか、どのような老い方・亡くなり方をしたいのか、ということから逆算して健康に気をつけていくのがよいでしょう。

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