単なる口頭での注意喚起で終わらせず、研修という「安全に失敗できる場」で、あえてAIによる失敗を経験させることも重要だ。 AIは時折、「もっともらしい嘘(ハルシネーション)」をつく。
それを鵜呑みにして「品質チェックを怠った成果物」を出した際、研修講師は「AI利用者の過失」を厳しくフィードバックする。現場に出て同じことをすると取り返しのつかない損失を出してしまうことを、「実体験として経験」してもらう。AIではできない研修の価値は、この「身をもって体験(痛感)させること」だと思っている。
令和の新人は初年度から「プレイングマネジャー」
かつて、新人の仕事といえば「先輩から言われた作業を素直にこなすこと」だった。しかしAIが普及した現在、新人の役割はすでに劇的に変化している。彼らは入社早々から、「AIという部下をマネジメントする、最小単位のプレイングマネジャー」にならざるを得ない。
部下(AI)の得意・不得意を見極め、的確な指示を出し、上がってきた成果物の品質に全責任を持つ。この「レビュアー(評価者)」としてのマインドセットと基礎知識を研修期間中に仕込めるかどうかが、その後の成長を大きく左右する。
今、企業に求められているのは、「AIに使われる人間」を大量生産することではない。基礎スキルという確固たる土台の上に立ち、AIという巨大な力を自分の責任と知性で飼いならすことができる「AIマネジャー」を育てることだ。
それこそが、私たちがこれからのAI時代に、人間の可能性を残すためにやるべき「人材育成」なのである。
