しかしランドセル廃止の動きは大きな広まりを見せることなく、次第に沈静化していく。その理由としては、受験競争の激化や、子どもの学力向上への保護者の強い要求が挙げられている。
家庭での勉強を強制しないためにランドセルを廃止する学校もあったわけだが、保護者からすると、それでは我が子が受験競争に勝ち残っていけるのかとの不安があったのだ。
リュックサックの一斉配布に踏み切る自治体
だが、近年、「脱ランドセル」を打ち出す自治体も現れている。例えば富山県立山町は、通学に使うリュックサックを新1年生に無償で配る取り組みを行っている。
リュックサックの無償配布は子育て支援の一環で始まったのだが、その背景にはランドセルの購入価格の高騰があった。ランドセルを購入するのに苦労している家庭の助けになればとの思いがそこにはあるという。
小学校で使う鞄は、法令や校則でランドセルでないといけないと決まっているわけではない。多くの子どもがランドセルを背負って登校しているが、その背景には「みんな同じ」を押し付ける同調圧力が潜んでいるとの指摘もある。
ランドセルを背負うことに憧れを抱いている子どもたちがいるのも事実で、それは尊重すべきことだ。
しかしここまでランドセルの値段が上がり、また過重な荷物をランドセルに詰め込むことになっているのならば、ランドセル以外の「鞄」で通学することや、学校のロッカーに学用品を入れるなどの施策を講じてもいいのではないか。
(主要参考引用文献一覧)
・丸山啓史「1960年代におけるランドセル通学廃止の経過」(『子ども社会研究』22巻、2026年)
・橋本真爾「進むか”脱ランドセル”」(『NHK ONE』2023年4月17日)
・高井尚之「ラン活疲れを癒やすモンベル『1万円台ランドセル』の正体 自治体の無償配布が変えた”通学カバン”の常識」(『東洋経済オンライン』2026年3月8日)
・続西宮市戦後教育史編集委員会編『続西宮市戦後教育史』(西宮市教育委員会、1994年)
・青山学院初等部HP
・「[社説] ランドセル以外も 学校の当たり前を問う」(『沖縄タイムス』2024年2月23日)



