博物館に並ぶ「略奪品」は誰のものか…帝国時代の展示品の返還に消極的な理由

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大英博物館(写真:Tartezy/PIXTA)
日本でも史観の議論は絶えないが、一時期世界を支配していたイギリスでは自国の歴史はどう教えられているのか。移民2世のジャーナリストが「なぜ、大英帝国について教えられないのか」を問題提起して話題になった書籍『盗まれた歴史』より一部抜粋、世界中からイギリスに運ばれた品々について驚きの事実を明かす。

まあ全部が盗まれたものではないが、帝国時代の展示品の一部はそうだ。ただし先に進む前に、ここで使いたい表現は「盗まれた(nicked)」「奪われた(stolen)」「横取りされた(snaffled)」「持ち去られた(pinched)」ではなく「略奪された(looted)」となる。この言葉は特に「力ずくで奪う」という意味がある。残念ながら、イギリスの博物館の植民地時代の遺物の多くには、まさにこのような背景がある。この単語も実はインドに由来しており、ヒンディー語で戦利品を意味する「lut」から来ている。奪われたものを表現するのに盗まれた言葉を使うのは、妙にしっくりくるものだ。

帝国が最盛期を迎えたヴィクトリア朝時代、植民地へ出かけて珍しく面白いものを集めることは、男性たちの人気の趣味だった。時にはダイヤモンドのように明らかに高価な品物を持ち帰ることもあったし、別の場合にはエキゾチックで魅力的だと見なしたものに興味を持ち、サルやヒョウ、インドサイのような動物を持ち帰った。

19世紀版の「お土産」

一部の帝国主義者や兵士は、略奪を職務上の特典のように考え、19世紀版のお土産として、海外旅行で冷蔵庫のマグネットやTシャツを持ち帰るような行為と同等に考えていた。時にはイギリス王室のために品々が略奪され、王室に献上されることもあった。略奪品の中には、それを奪った個人の家族が所有し続け、後に博物館へ寄付または売却されたものもある。場合によっては、博物館の関係者が略奪の現場に立ち会い、分け前を得たケースもあった。

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