アメリカは100%超え、ドイツは79%、イギリスでさえ59% 《食料自給率》の低い日本が"令和に直面する課題"
加えて、戦後の日本人の食生活が劇的に変化したことも大きな要因です。
かつて日本人の主食は米でしたが、1960年代以降、パンや麺類といった小麦製品、肉類、乳製品の消費が急増しました。しかし、小麦や大豆、家畜の飼料になるトウモロコシを大規模に栽培することは、日本の気候や土地条件では難しいのです。実際、日本の小麦自給率はわずか17%程度、大豆に至っては約7%です。飼料自給率も約25%にとどまります。
つまり、日本で生産される肉や乳製品も、その原料は海外に頼っているという現実があります。
「肥料」もほぼ100%海外に依存
また、日本の食料安全保障には、これらと並んで見過ごせない「構造的な脆弱性」が存在します。それが、「肥料原料の海外依存」という課題です。
植物の生育に不可欠な肥料の三要素(窒素・リン酸・カリウム)。これらのうち、作物の実や根の成長を左右する「リン酸」と「カリウム」の原料鉱石は日本国内では産出されません。そのため、原料の調達は実質的に100%輸入に依存しているのが現状です。
課題になるのは、その輸入先の偏りです。
リン酸アンモニウムの輸入先は中国が最大シェアを占めており、カリウムもカナダやロシア、ベラルーシといった特定の資源国に依存しています。このリスクが顕在化したのが、21年秋からの肥料価格高騰でした。中国が国内供給を優先して輸出管理を厳格化したことや国際情勢の不安定化により日本国内の肥料価格は高騰。農家の経営を圧迫しました。
つまり、たとえ国内に農地と作り手が揃っていても、肥料という「生産資材」が届かなければ、現代の農業は成り立ちません。私たちがスーパーで手に取る「国産」の野菜や米も、その生産基盤は「海外の資源」の上に成り立っているのです。
では、どうすればよいのでしょうか。
実は、「かつての日本」にそのヒントがあります。
江戸時代の日本は排泄物を肥料(下肥(しもごえ))として農地に還元する、世界でも類を見ない完全な「循環型社会」を築いていました。資源のない島国で、人口を養い続けるための生存の知恵でした。
もちろん、今さら江戸時代の生活に戻ることはできません。しかし、現代のテクノロジーを使えば、下水処理場の汚泥から枯渇資源である「リン」を高純度で回収し、再び肥料として農地に返すことは可能になっています。



















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