アメリカは100%超え、ドイツは79%、イギリスでさえ59% 《食料自給率》の低い日本が"令和に直面する課題"
「輸入に頼る農業」から国内資源を回す「令和版・循環モデル」へ。
食料自給率という数字の議論だけでなく、生産プロセスそのものの自立性をどう取り戻すか。古くて新しいこの課題への挑戦が、日本の食卓を守る最後の砦になるかもしれません。
「経済価値の高い贅沢品」の生産は多い
一方で、興味深いのは、生産額ベース食料自給率(国内で消費される食料の金額のうち、国内で生産された食料が占める割合)は64%に上昇しているという事実です。
カロリーベースが38%なのに対し、生産額ベースは64%。この数字の乖離(かいり)は、日本農業の構造的な変化を物語っています。これは円安や資源高により肥料・飼料コストが高騰し、それが農産物価格に転嫁されたという「インフレによる押し上げ効果」が一つにあります。
また、日本は「カロリー源になる穀物」の生産を諦め、代わりに「経済価値の高い贅沢品」の生産へとシフトしていることも表しています。高級果物の「シャインマスカット」、甘くて美しい「いちご」、霜降りの「和牛」。これらは海外でも高値で取引される高付加価値商品です。生産額ベースの自給率が上昇しているのは、こうした高級農産物の生産が増えていることも影響しています。
ただしここに大きなジレンマがあります。
「美味しいけれど高価な果物」は経済的に見れば合理的ですが、国の食料安全保障という観点から見れば「国民の命をつなぐ穀物」のほうが重要なはずです。地政学的リスクが高まる現代、カロリーベース自給率38%という数字は致命的な脆弱性を意味します。
この危機感から、日本政府は25年に「食料供給困難事態対策法」を本格施行しました。
これは、輸入途絶などの緊急時、政府が農家に対して作付け品目の転換(例えば花から芋へ)を「要請」し、正当な理由なく従わない場合には「指示」できる法的根拠を与えるものです。農家の経営の自由に一定の制約を課すものであり、戦後の農業政策における歴史的な大転換と言えます。
しかし、法整備はあくまでスタートラインにすぎません。平時に花を作っている農家に、有事だからといって急に「明日から芋を作れ」と命じても、技術や種芋、農機具がなければ対応不可能です。
私権(財産権)の制限に対する抵抗感も根強く、この法律が「絵に描いた餅」にならず、有事の際に真に機能する実効性を持てるかどうかが、今後の課題となります。
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