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ジェネリック承認審査で専門委員制度の活用を開始。巨額賠償リスクの低減や医薬品の安定供給につながるか?

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昨年後発薬の承認審査などで専門委員制度を新規導入した厚生労働省(写真:編集部撮影)

医療用後発医薬品、バイオ後続品の承認審査で、厚生労働省が昨年新規導入の専門委員制度を活用して特許抵触リスクを確認した事例があったことが、同省への取材でわかった。後発薬メーカーが特許侵害で数十億、中には100億円を超える巨額賠償を求められる事例が続く中、訴訟リスクの低減に制度がどこまで有効かが試されている。

専門委員制度は2025年11月、試行運用として導入された。厚労省は後発薬の承認審査で、先発薬の特許に抵触するリスクを確認するため、必要に応じて専門委員に意見を求めることができる。

専門委員の候補は、学識経験者や弁護士、弁理士から事前に32人(26年1月6日時点)が公表されている。通常の場合、利害関係のない3人が案件ごとに選ばれ、協議の上で「特許抵触あり」「特許抵触なし」の結論と理由を意見書として提出する。

厚労省は、承認審査で専門委員制度を活用した医薬品の具体名、件数を明らかにしていない。ただ、委員への資料共有の可否の企業側への確認、委員の厚労省への意見書提出の期限がいずれも「30営業日以内」と一定の長さが設けられていることから、まだ活用事例は多くないとみられる。

審査で特許抵触リスク判断

厚労省は医薬品の安定供給を図る観点から、後発薬の承認審査で特許抵触リスクを確認してきた。法的に特許侵害の有無を判定するものではないが、係争による生産停止、ひいては医薬品の不足を未然に防止する必要性から、抵触リスクが高ければ承認を見送る要素の一つにしてきた。

具体的には審査過程で、後発医薬品が特許侵害にあたらないとする申請資料、先発企業や特許権者から提出された特許情報報告の内容を確認する。特許抵触の有無について見解の相違がある際は双方への意見照会を重ねる。この仕組みは「日本版パテントリンケージ制度」と呼ばれ、アメリカなどでも同種の制度が設けられている。

ただ、医薬品の特許、とくに延長された特許の効力範囲は、統一された学説、判例の積み重ねに乏しく、厚労省は難しい判断を迫られてきた。

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