「父が見放すほど劣等生」スピーチの天才"チャーチル"実は演説が苦手な過去

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ヨーロッパ社会の中心であり続けた強大なローマ帝国は、領土の拡大によって体制を維持するコストが肥大。ゲルマン民族の侵入とキリスト教の普及によって、滅亡へと向かっていく様が『ローマ帝国衰亡史』では描かれている。制度の面にクローズアップしながら、初代皇帝アウグストゥスから1500年続いたローマ帝国の軌跡をたどった一冊だ。

1776年2月に第1巻が発刊されると、数日で売り切れ。増刷分もたちまち完売するなど、好評を博した。1781年には、古代ローマ帝国の滅亡までを描いた第2巻・第3巻が刊行。最終の第6巻が出たのが、フランス革命前年の1788年のことだ。

作者のギボンは幼少期から病気がちで学校にも通えず、家に籠っていることが多かったため、自然と読書と親しんだ。1764年10月に、旅の途中で立ち寄ったカピトリーヌの廃墟で佇んでいると、こんな思いが湧き上がってきたのだという。

「ローマ帝国の衰退と滅亡について書いてみたい」

チャーチルは、一国を率いるリーダーの気持ちになり、それぞれの皇帝たちの政策を自分なりに考えながら、『ローマ帝国衰亡史』を読み耽ったことだろう。よほど夢中になったようで『ローマ帝国衰亡史』のあとには『ギボン自叙伝』も愛読したという。

チャーチルがスピーチの準備に時間をかけるワケ

『ローマ帝国衰亡史』は政治家を志したチャーチルが第一歩を踏み出すのには、これ以上ない一冊となった。だが、名演説家チャーチルが生み出されるまでには、膨大な本を必要とした。

イギリスの第77代首相となったボリス・ジョンソンは、ロンドン市長時代に『チャーチル・ファクターたった一人で歴史と世界を変える力』(石塚雅彦、小林恭子訳、プレジデント社)を上梓している。

そこではチャーチルの記憶力の良さについて、こう舌を巻いている。

「彼は少なくとも5000冊の本を読んだ。とりわけ彼は詩歌を大量に暗記しており、人々はまるでジュークボックスのようだと言った。ボタンを押すと詩がとうとうと流れ出てきた。シャングリラ・ホテルにフランクリン・ルーズベルト夫妻とともに滞在していたとき、彼がエドワード・リアの滑稽詩を口にして、アメリカ大統領を感嘆させた」

ジョンソンは「チャーチルは頭脳に蓄積したこのデータのおかげで議論に勝ち、同僚たちを圧倒することができた」とも書いている。

次ページチャーチルの苦い経験
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事